検察当局:福島原発事故 菅元首相ら40人不起訴へ

http://mainichi.jp/select/news/20130908k0000m040109000c.html

関係者によると、東電は2008年、最大で15.7メートルの津波が想定されると試算しながら、防潮堤建設などの対策を取っていなかった。だが、検察当局が専門家から事情聴取したところ「福島沖で発生する地震津波の科学的知見は定まっていなかった」との意見が大勢だった。東電の試算も乏しいデータに基づくもので、津波高も3メートル台から15.7メートルまで幅があったという。
東電側が試算当時に意見を聞いたとされる東大地震研究所の佐竹健治教授は毎日新聞の取材に「(三陸沖から房総沖までの)日本海溝沿いの地震(の予測)は研究が進めば分かるかもしれないという不確定な状態だった。検察にもそう話した」と語った。

原子力発電所」が、いかに危険な存在で、全電源喪失といった深刻な事態が発生すれば、いかなる致命的な事態に陥るか、ということを前提にした予見義務を考えるべきではないかと思います。通常の、例えば、山の上から岩が落ちてきて車に当たる、といった(それはそれで危険なことですが)、生活上ありふれた危険とは、考えるべき危険がけた違いなはずです。
そうであれば、試算によっては最大で15.7メートルの津波が想定されるということである以上、それに応じた具体的措置を講じるべき、ということになるでしょう。これでは、うかつな人間がうかつなまま原発をいじくりまわし、うかつな人間が想定していなかったことが起きれば予見可能性が否定される、という、幼稚園児でもおかしいと思うような、おかしなことになってしまいます。研究が進めばさらに様々なメカニズムがわかるとしても、わからないまでも、想定される最も危険なことに備えておく、それが原発に携わる関係者に課せられた使命であったと言うべきで、このような幼稚な弁解に引きずられた不起訴処分には大きな問題を感じます。