まあまあ」やめます…民事調停もっと利用して

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20131228-OYT1T00595.htm?from=navr

訴訟の約56万件に対し、調停は約5万件――。全国の裁判所に昨年申し立てられた訴訟と調停の件数には、大きな開きがある。最高裁関係者は「調停でも解決できる問題が、訴訟に流れている」と分析する。
訴訟に比べて費用が半分程度で済み、非公開の場で短期間で解決を目指せるなど調停のメリットは多い。それなのに、紛争解決の手段として選ばれないのは、なぜなのか。あるベテラン弁護士は「裁判所が主体的に関与しないため話し合いが進まず、なかなか解決まで至らないケースがあるからだ」と指摘する。

訴訟提起する際に、事前に調停のような手段をうまく利用できれば解決できるかもしれないと感じることは私もありますが、実効性(そこは上記の記事でも問題が指摘されている通りですが)や、訴訟前に手の内を示すことへの警戒心などから、訴訟を提起した上でその後に裁判所に間に入ってもらい和解の道を探る、ということになりやすいですね。訴訟になれば、双方が証拠をそれなりに出し合って裁判所の一定の心証も得られて和解へと進みやすい、という面もあると思います(和解を蹴れば判決になり不利な結果になるかもしれないというリスクを負う、それを負いたくないから有利な和解を目指すという、和解への進みやすさも出てきます)。
おそらく、そういった、現状の訴訟が果たしている機能(双方が証拠をそれなりに出し合って裁判所の一定の心証も得られて和解へと進みやすい)を、調停ができるだけうまく取り込んで、「まあまあ」や「折半」で済まさず、その機能を充実させることが今後の課題と思われますが、それは、実際に訴訟をそれなりに経験した者が積極的、能動的に主宰しないとなかなか難しいことで、人材確保が大きな課題になると思います。現在も、弁護士がパートタイムで民事調停官を務める制度がありますが、そうした人材を増強して、あるいは、定年やそれに近い状態で退職した裁判官を再雇用して調停を担当させるなど、裁判所が、訴訟を念頭に置きながらうまくリードしつつ解決へと進めるような制度に、今後、刷新されなければならないでしょう。