ミッドウェイ

ミッドウェイ 特別版 [DVD]

ミッドウェイ 特別版 [DVD]

最近、

太平洋の試練 真珠湾からミッドウェイまで 上

太平洋の試練 真珠湾からミッドウェイまで 上

を何とか読み終えて

太平洋の試練 真珠湾からミッドウェイまで 下

太平洋の試練 真珠湾からミッドウェイまで 下

に入っているのですが、ちょうど、ドゥーリトル空襲のところに差し掛かっていて、いよいよ珊瑚海海戦からミッドウェイ海戦へと進むところに来ているので、実に久しぶりでしたが、映画「ミッドウェイ」をDVDで鑑賞しました。
過去に何度か観てはいるのですが、チャールトン・ヘストン演じるガース大佐が、息子である海軍将校が思いを寄せる日系人女性を抑留状態から解放するため自らのキャリアへの危険も顧みず懸命に動く姿(その日系人女性や家族への接し方が誠実で丁寧なのも好印象でした)に感銘を覚えたり、「太平洋の試練」でもその魅力的な人間性や高い指導力が紹介されているニミッツ提督を演じる名優ヘンリー・フォンダが実にニミッツらしく、これにも感銘を覚えたりと、何度観ても良い映画であると感じ入りました。ネット上では、細部での問題がいろいろと指摘されていて、確かに、実写フィルムをかなり使っていたりすることでそういった問題が生じているのは事実と思いますが、そういった点を補って余りある魅力が感じられるのは、やはり、この作品が、日米戦の大きなターニングポイントであった、現実のミッドウェイ海戦を描き切っているからでしょう。
当時の太平洋における日米の海軍力を比較すれば、日本側が大きく勝り、十分に勝利をおさめ得る状態にあったわけですが、作品中で海戦後のニミッツが述懐するように、運にも大きく左右され、米国側が海戦史上も稀に見る大勝利をおさめました。しかし、そのような大勝利は、単に運だけによりもたらされたものではなく、劣勢を挽回すべく懸命に情報収集に励んで日本側の作戦企図を読み取り、日本の空母部隊を先んじて叩くため犠牲を顧みず次々と艦爆隊、艦攻隊を発進させることでほんの僅かな勝機へとつなげた、当時の米国海軍の勝利への強固な意思、勇気によって強く導かれていたことを、この作品を通じ、改めて感じることができました。
私が過去に読んだ資料によれば、山本五十六役の三船敏郎は、山本五十六の遺族から本人使用の短剣を借りて撮影に臨んだとのことで、それは作品中で短くではありますが見ることができます。また、作品中での日本側の描き方も、公平で日本人が見ていても特に違和感がなく(英語での台詞にはやはり違和感がありますが)、三船敏郎が撮影に当たりアドバイスをしたと言われている、その影響が良い方向に生かされていることを感じることができます。
勝つことの難しさ、勝利と敗北が紙一重であり運にも大きく左右されること、しかし勝利の女神は勝つことへの飽くなき意思を強固に持ち努力する者にしか微笑まない、といったことを、ミッドウェイ海戦や本作品は我々に教えているように思われます。