- 作者: イアントール,Ian W. Toll,村上和久
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2013/06/14
- メディア: 単行本
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上巻を読んだ後、下巻を少しずつ読んでいたのですが、
- 作者: イアントール,Ian W. Toll,村上和久
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
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中身の濃さもあって、結構、時間がかかり、やっと下巻も読み終えました。
上巻の感想は、
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20130718#p2
とコメントしましたが、下巻では、劣勢にあった米軍(米海軍)が、ドゥーリットルによる東京空襲、珊瑚海海戦と、徐々に攻勢に転じ(と言っても日本軍が優勢な状態で推移していたのですが)、運命のミッドウェイ海戦で日本海軍機動部隊の空母4隻を撃沈しミッドウェイ攻略作戦を頓挫させるという大戦果を挙げ、形勢を逆転へと転じさせるまでが描かれています。
特に印象的であったのは、戦史書で酷評されがちな、ミッドウェイ海戦における南雲司令長官の采配(敵空母の存在を知った後にも攻撃部隊の発艦を遅らせその状態で米軍の先制攻撃を受けたことなど)について、著者が「後知恵」とし、南雲長官の消極性や優柔不断さには批判的な目を向けつつも、その直前の珊瑚海海戦において不十分な策敵情報で空振りの攻撃をしてしまったことから策敵情報を慎重に見ようとしたことや、燃料切れ寸前で空母への収容を待っているミッドウェイ攻撃部隊の収容を優先させたこと(攻撃部隊の発艦を優先すれば海上に不時着することになり犠牲者も出してしまう)について、当時の南雲長官の判断に理解も示していて、珊瑚海海戦の影響を見ているところや指揮の難しさ、微妙さを理解しているところに、戦史研究家としての見識を感じました。珊瑚海海戦で空母翔鶴が攻撃を受け大破し空母瑞鶴とともにミッドウェイ作戦に参加できなかった影響は、おそらく大きく、ミッドウェイ海戦の敗北の種は既に珊瑚海海戦でまかれていた、ということを強く感じるものがありました。
米海軍が真珠湾攻撃による大きな打撃から立ち直りを図りミッドウェイ海戦で大勝利をおさめるにあたっては、日本側の情報を必死に収集、解析し(それがミッドウェイ海戦での勝利につながったことはあまりにも有名です)、また、劣勢にありながらも、めげたり凹んだりすることなく、常に、先手を打つこと、先制することを心がけ積極果敢に立ち向かっていて、これは、僅かな勝機をつかむためには重要な、あらゆる戦いに通じる、学ぶべき姿勢であるということも強く感じました。
真珠湾作戦からミッドウェイ海戦までを連続して見ることで、その間の戦史がより深く、幅広く理解できたように感じられ、実に有益、参考になりました。