審理の理解度3年連続低下 最高裁の裁判員アンケート調査

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0503X_V00C13A4CR8000/

最高裁は5日、昨年1年間の裁判員経験者を対象としたアンケート結果を公表した。審理内容の理解しやすさや、検察官や弁護士らの説明の分かりやすさは3年連続で低下したが、評議での議論の充実度はやや改善した。最高裁は「書面中心の分かりにくい審理がまだ少なくない。改善の努力が必要」としている。

評議のわかりやすさ、充実度は、裁判官の努力や裁判員の協力で向上が可能と思いますが、そもそも、日本の刑事司法制度では、捜査段階で作成される多数の書面(供述調書、実況見分調書、報告書等々、多岐にわたります)の存在を前提に、それらがいかに証拠として採用されるか(されないか)、を問題としてきた経緯があり、最高裁が言う、「書面中心の分かりにくい審理がまだ少なくない。」という状態を抜本的に改善するためには、そういった従来の証拠収集、立証の在り方を大きく変えないと無理でしょう。
日本の現行刑事訴訟法の元になっている英米法では、伝統的に、供述証拠についての「反対尋問によるテスト」が重視されてきましたが、日本のカルチャーに根差しているとも言える書面主義は、そういった英米法の伝統とは相容れないものがあります。しかし、反対尋問というものを絶対視する必要もなく、例えば、書面を証拠化する道を従来より広げつつも録音、録画を義務付けて、録音、録画内容も踏まえた「相当性」を証拠能力の要件にする、といった方法もあるでしょう。そのような資料があれば、裁判員が判断するにあたっても単に書面によるのではなく、わかりやすく、判断しやすくなるはずです。
捜査のおける取調べの可視化ばかりでなく、日本の刑事司法制度には、全般的に改めるべき点が多々あると思います(例えば、再審制度もその1つです)。無力な私には何もできませんので、問題意識と力がある人は、ぜひ取り組んでみてください。