http://www.47news.jp/CN/201006/CN2010060201000328.html
弁護側は一審の被告人質問で、取り調べ時の気持ちについて「とても悪い気分になった」と訳すべき部分を、裁判所に選任された通訳が「申し訳ないと感じた」とするなど誤訳が多かったと主張している。
従来の刑事裁判では、供述調書等の書面が多用され、様々なデメリットが存在しつつも、書面が証拠として採用され裁判官がそれをみっちりと読み込むことで、より精密な事実認定が可能であった、ということは言えるでしょう。被告人質問も、捜査段階で作成された被告人(被疑者)の供述調書が採用された上で行われてきていて、法廷での言動だけで判断する、ということはそもそも予定されていませんでした。
しかし、裁判員制度になると、書面の証拠としての利用は必要最小限度に抑えられ、法廷で裁判員らが見聞きしたもので、それだけで判断する、という度合いが格段に上がりますから、誤訳というものが及ぼす影響もそれだけ深刻になってくることは容易に理解できます。
対策としては、特に裁判員裁判にあっては、能力が高い通訳人を、通常の事件よりも手厚く配置する、いわゆるチェックインタープリターを傍聴席に座らせておき誤訳(その疑いのあるもの)は素早くチェックする態勢をとる、といったことを、早急に実施する必要があるのではないかと思います。