下請け運行「経営ギリギリ」 関越道の7人死亡事故

http://digital.asahi.com/articles/TKY201204300002.html?ref=comkiji_txt_end

2010年3月にJRの寝台特急「北陸」と急行「能登」が廃止されて以降、北陸地方では特に価格競争が激しくなっている。あるバス業者は「十数年前にはバス1台あたり30万円ほどで委託を受けていたが、最近では約20万円まで下がった」と嘆く。事務経費を削り、「ギリギリの経営」をしているという。

自由競争賛美論者は、競争がすべてを好転させる、敗者は市場から退出し勝者が残る、と牧歌的に考えがちですが、実際は、敗者は自分が敗者であることをなかなか認めず、合理性を欠如したまま退出を拒み他を食いつぶして勝ち目のない競争を続け、その結果、勝者が誰もいなくなって共倒れする、ということになりがちではないかと思います。典型的なのは規制緩和後のタクシー業界であり、弁護士業界にもその傾向はあるでしょう。
安全性が強く求められる業界で、そういったことが起きれば、安全性が犠牲にされていることで事故や死傷者が出る、ということが必然的に起きてくることになり、そうならないために、必要な規制は行う、ということを避けて通れないのではないかと思います。
規制緩和されて良くなったことだけでなく、悪くなったこともあり、21世紀に入って10年余りを経た日本でも、規制緩和の功罪、緩和から引き締めへと転じるべき点の検証、といったことが早急に行われるべきでしょう。「ギリギリの経営」をしているバスに、日夜、数多くの人々がその命を預けて乗っているということに、今後も続く危険を感じる人は多いのではないかと思います。