http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100409-00000027-kyt-l26
従来の給与制では、修習生は1年の修習期間に300万円近くの給与を受け取った。生活を保障することで、副業を禁じ、修習に専念することを課してきた。
貸与制は月額23万円が基本で、1年間に約280万円を受け取る。無利息で、修了5年後から10年間が返還期限だ。
各弁護士会は、経済的に法曹への道をあきらめる人が出て、裕福な人だけになる▽弁護士になっても借金返済を優先してお金にならない公益的活動を敬遠する−などの懸念があると主張している。
給与廃止の背景には司法制度改革がある。国は司法試験の合格者を2010年度までに3千人に増やすことを計画していた上、裁判員裁判や被疑者国選制度の拡充で司法への費用が多額に上る。国の検討会では「給与制の維持は国民の理解が得られない」とする意見が多数を占めた。
私の場合、修習期間は2年で、その間、国家公務員1種試験合格者の初任給をやや上回る程度(と当時は説明を受けていました)の給与をもらっていて、ボーナスも出ていましたから、恵まれた修習生活を送ったと今でも感じています。
その後、検事に任官して11年5か月働き、弁護士に転じた後も当番弁護士など公益性のある仕事はしているので、もらった給与が無駄になっていることはないと思ってはいますが、国民感情としては、上記の記事にある検討会の多数意見にあるように、特に弁護士になる人にまで給与を支払うのはいかがなものかとされるのは理解できるものがあります。
私自身の考えとしては、司法修習生には給与を出し、心おきなくしっかり勉強してもらいたいと思いつつも、給与制を維持するのであれば納税している国民に理解が得られるような根拠をしっかりと示す必要があります。裁判官、検察官に任官しても、若手の時には恵まれないにしても、30年以上勤め上げれば年収が2000万円程度に達する人も少なからず出てくる現状で(何年やってもそれだけの所得を稼ぎ出せない弁護士は多いでしょう)、弁護士希望者には給与を出さないが裁判官、検察官任官者には給与を出す、といったことも、説得力があるとは思いにくいものがあります。
余談ですが、裁判官の場合、高位高官になっても自分で記録を読み判決等を書く、ということでかなりの労力を費やさざるを得ないものですが、検察官の場合、高位高官になると行政官としての悪い面が露骨に出てきて、記録は読まない、書面は書かない、すべてをヒラ検事にやらせて自分はつべこべ文句を言ってハンコを押しているだけという、とても法律家とは言えない状態に堕して行き、これで年収2000万円程度の人がゴロゴロといるわけですから、司法修習生の給与制が廃止されることと比べると、世の中というものは不条理、不公平なものだという気がします。
当面、給与は出さない以上、修習している時間以外の副業は、修習に支障がない範囲内で認め、貸与金についても、僻地で一定期間弁護士活動を行ったりすれば全額または一部の返済を免除する、といったことも併せて実施すべきではないかと思います。