警官振り落とし組員不起訴、横浜地検が判断

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090726-00000048-yom-soci

県警の発表などによると、警部補は4月29日午後2時半頃、パトカーの追跡から逃走中に物損事故を起こした林被告と警察官がもみ合っている現場に駆け付けた。林被告が、原被告が運転する車に乗って逃げようとしたため、後部ドアにしがみついたが振り落とされ、脳挫傷などの重傷を負った。
林被告は、自身の逮捕状が出ているといううわさを聞いたことなどから逃走したといい、地検幹部によると「事件の経緯などから、両被告に警部補への殺意や公務執行妨害の故意があったとするのは難しい」と判断したという。

私も、昔々、似たようなケースを取り扱い、かなり検討した結果、公務執行妨害罪(殺人や傷害までは問題になっていなかった記憶です)を不起訴にしたことがありました。記事にあるような「後部ドアにしがみついたが振り落とされ」という点について認識が否認されると、外形的に、逃げるということが優先されているだけに、なかなか立証が困難になる側面があり、おそらく、横浜地検の不起訴という判断も、そういった側面について慎重に検討した結果ではないかと思います。
刑事事件の立証というものが、常識では簡単に割り切れないものであるということを示しているとも言えるでしょう。