性犯罪、対象外の事件分離へ 仙台地裁

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090725-00000005-khk-l04

奥村弁護士のブログ経由で知りました。

関係者によると、両事件を併合した場合、本来は裁判員裁判で審理されない強制わいせつ未遂事件の被害者に関する情報を、裁判員やその候補者に示さざるを得なくなることから、審理を分離するという。同事件は近く、盛岡地裁から仙台地裁に移送される見通し。
性犯罪の裁判員裁判では、被害者のプライバシー保護への対応が課題となっている。仙台地裁の分離判断は、対象外の事件を含む複数の性犯罪で起訴された被告の裁判員裁判の運用方法で、一つの先例となりそうだ。
ただ、今回を含め併合罪の関係にある複数の事件の審理を分離し、個々の刑罰を合算した場合、併合罪処理で一括するより重くなるとの見方があり、弁護士側からは「被告の利益を害しかねない」との指摘も出ている。
青森地裁は、裁判員制度スタートの前と後にそれぞれ、強盗強姦(ごうかん)罪などで起訴された無職男(22)の審理を併合する方針を決めるなど、裁判所の対応も割れている。

被告人が複数の事件で起訴されている場合、通常は、事件を併合して審理し判決を出すもので、そういった利益を「併合の利益」と言いますが、特段の事情(被告人に併合の利益を与えるべきではないような)がない限り、併合審理がなされないと、別々に審理、判決が行われることで、併合された場合よりも重い刑になってしまう可能性が高いでしょう。
裁判員守秘義務か課されているということは、仙台地裁が危惧するようなことにならないために課されているという側面も当然あって、そこを危惧して併合しない、というのは、裁判所が裁判員を信用していない、ひいては裁判員制度自体を信用していないということになるでしょう。
実際に裁判員裁判が始まる前から、既に裁判所自体により制度が破壊され崩壊しつつあるということの、1つの現れという見方もできそうです。