足利事件、DNA型一致せず 東京高裁再鑑定、再審の公算

http://www.47news.jp/CN/200904/CN2009042001000881.html

検察、弁護側がそれぞれ推薦した鑑定医の結果が、いずれも「不一致」になったとみられる。正式な結論となれば、確定判決の有力な根拠とされた「DNA鑑定の一致」を覆す形で、再審開始の公算が高まりそうだ。

DNA鑑定で無罪、全米で200人
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20070427#1177630938

でもコメントしたように、米国では、DNA鑑定により、一旦は有罪が確定した服役囚が次々と無罪になっていますが、日本でも、同種事例が出てきたな、という印象ですね。
日本の捜査当局は、DNA鑑定を、過去の未解決事件に役立たせようと躍起ですが、

過去の事件解決に期待 白骨や毛髪からも容易にDNA鑑定
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20071112#1194826313

で、

真実発見の重要性は、「犯人を見出す」ことだけではなく、「犯人ではなかったことを確認する」こと、すなわち冤罪の発見ということにおいても重要でしょう。最近のアメリカでは、DNA鑑定により、過去の冤罪事件が次々と明らかにされ、死刑を免れた受刑者も多数出ていることが報じられています。
上記の技術が、過去の、既に判決が確定した難事件についての再鑑定にも使用され、真相解明に役立つことも期待したいと思います。

とコメントしたように、科学技術の進歩は、過去の、解決されたはずであるが問題を含んだ事件の再検証にも十分活用されなければならないでしょう。そこにおいても、捜査当局が証拠を開示せず隠し続けていれば、再検証すること自体が不可能になりますから、適切な証拠開示というものがいかに重要かということがここでも明らかになっていると言えます。
過去の冤罪事件では、血痕に関する、いわゆる「古畑鑑定」(法医学の権威であった古畑東大教授の鑑定)が過度に重視されたことが判断の誤りにつながったということが指摘されていますが、過去のDNA鑑定についても、完全ではないにもかかわらずあたかも完全、完璧な犯人性立証の決め手のように独り歩きした側面というものを指摘できるかもしれません。