刃物の血がポイント、DNA鑑定へ…出頭男「目撃」と酷似

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081123-00000004-yom-soci

男が所持していたナイフは刃渡り20センチ、全長33センチの大型で、二つの事件の被害者が受けた傷口と矛盾しない。刃の部分には血痕が付着しており、警視庁はDNA鑑定で、山口さん夫妻や吉原靖子さんの血液と一致するかどうか確認する。

所持していた凶器と犯行の結び付きが特定できても、その凶器を持って実行行為に及んだのがそれを持って出頭してきた人物である、ということが、即、断定できるものではありません。暴力団の抗争事件では、このパターンで「身代わり」が出頭してくるということがよく起きます。
この種の殺傷事案では、犯行時に、被害者から抵抗を受けて犯人側も負傷している場合があります(かみつかれるなど)。犯行後、まだそれほど時間がたっていませんから、出頭した人物の身体に、そういった痕跡があれば、実行犯であることを裏付ける証拠になる可能性があります。
また、犯行時の着衣には、返り血など、犯行の証跡が残っている可能性が高く、それを完全に処分しきっていないのであれば、供述から発見、押収することで、犯人性の裏付けになるでしょう。
さらに言えば、捜査では、前足、後足と言われますが、埼玉事件、東京事件の前の犯行準備、下見等の状況、埼玉事件後の逃走、東京事件へと標的を変えるまでの行動状況、東京事件後の逃走、出頭までの状況について克明に裏付けて行くことで、犯人性が浮き彫りになって行くはずで、そういった捜査を行ったにもかかわらず矛盾が生じるようであれば、他に犯人がいるのではないか、犯行に何らかの関与があったとしても出頭した人物が実行行為に及んでいないのではないか、という疑いが生じてくる可能性もあります。
今後、慎重な捜査を積み重ねることで、共犯者や背後関係も含め、徹底した解明が行われるべきで、報道するほうも報道に接するほうも、捜査を冷静に見守る、という姿勢は必要でしょう。