偽造品あふれる携帯サイト 欧米ブランドの競売訴訟、日本に飛び火?

http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20080818/168168/

ところが、UDFTによると、写真や価格など一目で偽造と分かるルイ・ヴィトンの割合は9割を超えたまま。出品総数の減少が示すように抑制効果がなかったわけではないが、事態の解決には至っていない。「監視する人数が少なく、偽造品の削除が追いつかないのだろう。ガルオクの経営陣は、ブランドの権利に対する意識が足りないのではないか」とUDFTの提隆幸・事務局長は不満をあらわにする。

大手のインターネットオークションにおける、この種の違法商品対策は、かなり進んできた面がありますが、そこで排除された人々は、対策が進んでいない、緩い場を探し、そこへ場を移して、ということになりがちです。おそらく、そういった流れの中で、この記事にあるような現象が起きているのでしょう。
違法品の割合が、たとえばこの記事にあるように9割を超えたような状態にあれば、「申告があれば削除する」と呼びかけていても、そういった違法品だらけの場を、そうと知って維持していること自体が、民事、刑事の違法行為であるという評価を受けかねないでしょう。先日、

JASRAC動画共有サイト運営事業者「ジャストオンライン」を著作権侵害で提訴
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080806/312303/

という出来事があり、JASRACは日頃の行いのせいか、ネット上での評判はかなり悪いようですが、サイト運営者のような立場にあっては、自らがアップロードするわけではない様々なコンテンツについて網羅的な監視、削除義務は負わないとしても、運営している場自体が違法なコンテンツだらけという状態に達してしまうような事態に至れば、そういった場を運営する責任、ということが問題になる余地が出てくる、と私は考えています。その意味で、たとえば、ヤフーオークションにおける過去の対策の歩みは、この種の対策を考える上でかなり参考になるでしょう。

追記(平成23年8月11日):

判例時報2115号102頁以下に、上記のジャストオンライン事件の控訴審判決(知財高裁平成22年9月8日)が掲載され、侵害主体性の判断や、運営者をプロバイダ責任制限法の「発信者」と判断した手法が参考になると思われました。運営者について、安易に、そういった点が肯定されるべきではありませんが、提供している場を無法地帯化するようなことが許されずもなく、サービス提供上は十分な注意が必要でしょう。