最高裁、写真集のわいせつ性否定 メイプルソープ作品輸入禁止取り消し

http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2008021902088819.html?ref=rank

問題になった写真集は、映画配給会社「アップリンク」が1994年に日本語版を出版した「MAPPLETHORPE」。同社の浅井隆社長(52)が99年、米国出張に携行し、帰国時に成田空港の税関が掲載写真260点のうち、男性性器の写った20点(18種類)をわいせつと判断し、持ち込みを認めなかった。
同小法廷は、20点について「いずれも性器そのものを強調している」と指摘。一方で、▽メイプルソープ氏は現代美術の第一人者として高い評価を得ており、写真集は芸術的観点から編集された▽20点は384ページのうち19ページにすぎない▽白黒で、性交などを直接的に表現していない−と認定した。
その上で、写真集について「全体として見る者の好色的興味に訴えるものと認めることは困難」と結論付けた。

関税定率法に関する判断ですが、刑法で問題になる「わいせつ性」の評価にも通じるものがあり、今後の実務に与える影響には多大なものがあるでしょう。
先日、問題になった蘇民祭での、祭事の中における「全裸」が、公然わいせつ罪における「わいせつな行為」にあたるか、という問題についても、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20080209#1202533522

この最高裁の判断に照らせば、「全体として見る者の好色的興味に訴えるものと認めることは困難」であり、わいせつ性が否定される可能性は決して低くないと私は思います。
「性器を露出していれば、わいせつ」という、単純な発想では、この問題に正しい答えは出ない、ということは明らかです。