再犯の防止 厳罰化より就労対策を

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/59891.html

驚かされるのは、治安が沈静化に向かっているのに、厳罰化の流れが止まらないことだ。裁判の確定判決をみると、じわじわ増えてきた実刑の懲役が昨年は四割を超え、死刑確定者がこの十年間で最多の二十一人に上った。
その結果、受刑者は増えた。刑務所の定員を超えて、六人部屋に八人収容するような状態が続いている。
白書は、全摘発者に占める再犯者の割合が近年、四割に迫る状況をふまえ再犯者の実態と対策をまとめた。窃盗の初犯者の九割が執行猶予となっていることなどを指摘し、さらなる厳罰化を促している。

約1年前に、英国の刑務所等を見学し、その際、ロンドン市内にあるICPS(刑務所研究のための国際センター)で話を聞いた際にも、厳罰化の限界、ということが強く指摘されていたことが思い出されます。

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20070131#1170209041

犯した犯罪に見合う刑罰が科される、ということは、言うまでもなく重要なことであり、今後とも見逃されるべきではありませんが、あれも厳罰、これも厳罰、何でもかんでも厳罰、という厳罰一辺倒では、刑務所をいくら作っても追いつかず、長期間閉じ込めておいても出てくればまた犯罪に手を染める、という、一種の「無間地獄」のような状態に陥りかねないでしょう。
犯罪傾向の進んでいない者には、適宜、社会内処遇を取り入れる、犯罪傾向が進み施設内処遇がやむをえない者に対しても適切な教育・指導や職業訓練を行い、社会内処遇に適した状態になったものと認められれば、仮釈放等を積極的に検討する、服役以外の、例えば社会奉仕命令などの多様な、実効性ある制裁を取り入れる、といった、「処遇の個別化、多様化」も併せて考えて行かないと、この分野でも、日本は世界的な潮流から大きく取り残されてしまうことになりかねないでしょう。
その意味で、この北海道新聞の社説は、非常に重要な指摘をしているものと思います。