平成23年版犯罪白書

今週、霞が関弁護士会館地下にある書店へ行ったところ、置いてあり、早速、買い求めました。今年の特集は「少年・若年犯罪者の実態と犯罪防止」ですが、特集の前まで、駆け足で一通り目を通しました。
最初に目を引いたのは、平成14年に369万3928件にまで達した刑法犯の認知件数が、その後、減少に転じて、平成22年には227万1309件にまで減少してきていることでしょう。犯罪白書は、戦後を通じてみればまだ高い水準にあるとしていますが、治安情勢が、一時の危機的な状況を脱して沈静化していることは間違いないと思います。典型的な重大財産犯である強盗の認知件数を見ても、平成15年に7664件あったのは、平成22年には4029件にまで減少し、ほぼ半減するに至っています。
気になったのは、高齢犯罪者がかなりの勢いで増加の一途をたどっていることで(犯罪白書も「最近の高齢犯罪者の増加の勢いは、高齢者人口の増加をはるかに上回っている」としています)、殺人、強盗といった重大事犯でも、平成3年以降の検挙人員の増加には顕著なものがあって、今後、高齢者犯罪対策に取り組まれる必要性を感じました。
一時、深刻な問題になっていた刑事施設への過剰収容問題は、上記のような治安情勢の沈静化によるものか、かなり改善されてきていることがわかります(平成22年末で全体の収容率80.9パーセント)。ただ、無期懲役受刑者が仮釈放されるまでの期間が長くなる傾向が続き、25年以内で仮釈放になるケースは皆無になってきていたり、有期刑の受刑者で、平成元年には15.6パーセントが執行率70パーセント未満で仮釈放されていたのが平成22年では執行率70パーセント未満の仮釈放者が2.2パーセントにとどまっているなど、早期の仮釈放がなかなか認められなくなってきている傾向は、刑事政策の在り方として気になるものがあります。よりきめ細かな、弾力的な運用により、仮釈放を早期に認めるべきケースでは思い切って認めるということも検討されるべきでしょう。
上記の特集についても、引き続き読んでみたいと考えています。