身柄拘束短縮にも配慮 最高検、検証結果を初公表

http://www.chunichi.co.jp/s/article/2007081001000318.html

身柄拘束期間の短縮にも配慮するよう指摘している。

一般市民が刑事裁判の審理に加わる裁判員制度導入を控え、検察批判の高まりに対する危機感が背景にあるとみられる。

最高検が身柄拘束期間の短縮への配慮を指示するとは、世の中、変わったものだと思います。いわゆる「人質司法」問題に対する批判が、今後、ますます高まり、裁判員へも大きく影響して、裁判員関与裁判で、無罪等の、検察庁にとって悪夢のような判決が相次ぐ事態をかなり危惧しているものと推測されます。
ただ、報道されているところによると、未熟な若手検事のチョンボ、といった単純な問題ではなく、ベテラン検事である決裁官がきちんと事件の問題点を見抜いていなかった、とか、地検内の慎重な意見がうまく生かされていなかった、などの、かなり本質的かつ致命的な問題点が多々あったようであり、最高検に指摘されたから改まりました、といった形で簡単に解決するはずもないでしょう。
ベテラン検事は、今さら可塑性もないので無理だと思いますが、私が可塑性のある若手検事に勧めたいのは、過去の無罪事件、事実認定について参考になる事件について、意識して勉強し(できるだけ多く)、そこから教訓を導き出して、同じ失敗を繰り返さないようにする、ということです。賢者は歴史に学ぶ、と言いますが、過去の様々なケースで問題になったことは、今後も問題になりうることであり、そういった勉強を地道に続ける中で、頭の中で次第にチェックポイントが増えて行き、警察から相談を受けたり、事件記録を読んでいるときに、何をすべきで何をすべきでないか、ということが洞察できるようになるのが理想でしょう。理想通りに物事は進みませんが、理想に近付く努力は不断に続ける必要があります。
例えば、

無罪の発見―証拠の分析と判断基準

無罪の発見―証拠の分析と判断基準

は、上記のような勉強上、非常に参考になる1冊だと思います。