千葉の女性宅「強盗」不起訴は不当、検察審査会が議決

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070308i306.htm?from=main3

審査会が同年12月21日付で出した議決などによると、男は同年3月14日午前、女性宅に侵入。女性ともみ合いになって包丁を落とし、これを拾い上げた女性から取り返す際、女性が両手に2週間のけがを負った。女性は大声を上げ、男は何も取らずに逃げたが、近所の男性に路上で取り押さえられた。
男は住居侵入、銃刀法違反の両容疑で逮捕、送検時に強盗傷害容疑が加えられた。同支部は同年3月31日、住居侵入と銃刀法違反罪でのみ略式起訴。強盗傷害罪については「事件当時、酒に酔っており動機が判然とせず、金品を要求する言葉を発していない」と不起訴とした。男は松戸簡裁から罰金40万円の略式命令を受けて支払い、刑が確定した。担当した検事は同年4月1日付で法務省に異動した。

確かに、罰金刑は、やや軽いな、という印象を受けますね。「包丁」は、予め持っていたものと思われますが、持っていた目的が明確に認定できないとしても、そういった凶器を持って他人の住居に侵入する、という行為全体の悪質性を重視すべきだった、ということは言えると思います。本省への異動のうれしさや、異動日が迫っていたことなどで、検討が不十分だったのでしょうか。
ただ、今後、強盗致傷罪で起訴しようにも、既に住居侵入罪で起訴済みですから、それと、おそらく牽連関係にある(科刑上一罪)強盗致傷罪は、既判力が及んで起訴はできないでしょう。銃刀法違反だけの起訴なら、強盗致傷罪とは併合罪関係にあり、同罪による起訴が可能だったところです。
こういった微妙な事件で、さりげなく住居侵入罪でも起訴しておいて、検察審査会で不起訴不当等の議決が出ても何もできない状態にしておく、というところに、さすが本省へ異動するような検事は、事件の処理は下手でも官僚としての能力は優れているな、と感じさせられます。