法想定外で欧州盗難車販売罪問えず、福岡県警が業者を釈放

http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/ne_07011004.htm

刑法では盗品の運搬、保管、処分あっせんを行った者は10年以下の懲役及び50万円以下の罰金に処せられる。しかし、法務省が「国外での車の盗難事件には日本の捜査が及ばず、供述だけでは会社役員が持ち込んだ品物が盗品であるとの立証は困難」との見解を示し、立件を断念した。

こういう事例は経験したことがなかったので、手元にあった山口厚・刑法各論(補訂版)で調べてみると、333ページから334ページに、「争いがあるのが、本犯が外国人により外国で行われたため、わが国の財産犯規定が適用されない場合において、わが国に持ち込まれた盗品等が盗品等関与罪の客体になるかである。」として、肯定説が有力説として紹介された後(団藤、大塚、藤木、大谷など)、山口説としては、「構成要件該当性を肯定しうるかの点において疑問があるように思われる。」と、否定説に立つことが明らかにされていました。
おそらく、その点と(先例となるような判例もないようです)、上記の記事にあるような立証上の難点も併せ考慮の上、立件が断念されたのでしょう。
ただ、今後、こういった事件は増える可能性が高く、法令解釈と証拠収集の両面で、検討の余地は大いにあると思います。