小嶋社長、強制捜査へ 偽装認識告知せず 4億円詐欺容疑

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060507-00000000-san-soci

計算上の強度はその後、さらに低い15%と判明したが、宅地建物取引業法は業者に対し、重要事項を事前に顧客へ告知するよう義務付けており、合同捜査本部は基準を50%以上下回る数値はこの重要事項にあたると断定。数値を告知させずに代金の受領を指示した行為は、作為と同等の悪質性がある「積極的な不作為」であるとして、「法律上の義務」を故意に果たさず財物を交付させた不作為の詐欺罪が適用可能と判断した。

理屈から見ると、詐欺にもなるのかな、という気がしますが、我々がよく言う「筋の良し悪し」という点では、あまり筋の良い詐欺とは言えないでしょうね。同様の事件を、私が、東京地検特捜部とか警視庁捜査2課などへ持って行けば、なんだかんだと文句を言われ、結局、犯意がはっきりしない、などとつぶされ、不起訴になって終わってしまうでしょう。
この構成で詐欺が成立するのであれば、以前、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20041028#1098943028
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20041122#1101083785
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20050328#1111939805
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20050527#p2
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20050610#p2

とコメントした事件は、土壌が汚染されているマンションを、それと知って売りつけているわけですから(買主がそれを知っていれば通常は買わないでしょう)、詐欺罪の適用ができた可能性が高いと思います。しかし、この事件では、詐欺罪は適用されず、社長の引責辞任等で幕引きとなっています。
一方は、一種の国策捜査、社長も世間を敵に回して孤立無援、もう一方は、旧財閥系の著名企業で、おそらく巧みに立ち回って捜査機関等に働きかけ等をおこなったもの(巨額の補償も行ったという報道もありましたから、それだけ誠意も見られた、ということも言えるでしょう)、ということで、似たようなことを行っても、詐欺罪の適用について大きな差が出たような印象を受けました。