国立のマンション訴訟、住民側の敗訴が確定 最高裁判決

http://www.asahi.com/national/update/0330/TKY200603300370.html

第一小法廷は都市の景観について「歴史的、文化的環境を形作り、豊かな生活を構成する場合には客観的な価値がある」と指摘。憲法の幸福追求権をベースに地域住民には「景観利益」があると認め、各地の景観被害をめぐって住民が裁判で回復を求める道を開いた。
一方で、利益が違法に侵害されたと言うためには、「侵害行為が法令や公序良俗に反したり、権利の乱用に当たるなど、社会的に認められた行為としての相当性を欠く程度のものでなければならない」と、実際の被害救済にはやや高いハードルを設ける内容となった。

景観利益の権利性が認められても、認められる範囲が狭く限定されれば、権利とは名ばかりの「名目権利」でしかなくなります。
また、景観利益といった、曖昧模糊としたものを緩やかに認めれば、地域の開発や発展を大きく阻害しかねず、それはそれで深刻な問題を発生させる恐れもあります。
権利侵害の有無を判断するにあたり、「社会的に認められた行為としての相当性」を基準とすることになれば、何が「社会的に認められた行為」か、が常に問題になりますから、最高裁の判断には、この問題の解決を今後の議論に委ねたという面もあると言えるかもしれません。