六本木ヒルズクラブでの出来事

今日は、午前中、府中の警察大学校へ行って3時間弱の講義を行い、午後、六本木ヒルズへ戻ってきて、ランチでもしようと思い、1人で六本木ヒルズクラブへ行った。食事をして、コーヒーを飲みながら新聞をじっくり読んだ後、さあ仕事をしようと思い、チェックアウトしてエレベータホールでエレベータを待っていたところ、クラブ内からどやどやと出てきた数名の男性が、やってきたエレベータに乗り込んだ(後から聞いたところ、森ビルかどこかの御得意様だったようである)。
大事な客なのか、警備員が1人ついており、エレベータにまだ十分乗れそうな余裕があったため、私が乗ろうとしたところ、その警備員から、一緒のグループかと聞かれ、そうではないと答えると、別のエレベータに乗るよう言われ(どう見ても丁寧な言い方ではなく)、そのエレベータは下へ降りて行ってしまった。
1人取り残された私は、しばらく待った後(51階ともなると、なかなかエレベータが来ない)、下へ降りた。
その集団は、森ビルかどこかの上得意だったようであるが、一応、私もクラブ会員である。ホリエモンや三木谷氏などには及びもつかないが、実は、結構利用しており、クラブの売上に着実に貢献していると言っても過言ではないだろう。そういう客に対して、このあしらいは、やはり失礼と言える。今思い出しても不愉快である。
なぜ、このことを、ここで紹介するかと言うと、立腹して言い触らしてやろうと思ったわけではなく、この出来事の中に、自分自身も肝に銘じるべき教訓が含まれていると思ったからである。私自身、弁護士として、いろいろな方々から依頼を受けて仕事をしている。そういった方々は、それぞれ、私に報酬を支払って下さっている。受任している仕事には、大小もあれば、難しいもの、それほど難しくはないものなど、様々であり、いただく報酬の金額もいろいろである。
しかし、それぞれが、私にとっては大切な案件、依頼者であり、仕事の大小、報酬の多寡等で差別的な取り扱いはすべきではないと思っている。こういう精神は、どのようなビジネスにも通じるのではないかと思う。
上記の警備員は、所詮、警備員であり、上得意の集団を丁重に扱えと命じられていたのであろう。しかし、上得意の集団を丁重に扱う一方で、別の客を粗末に扱い、不愉快な思いをさせてしまった。これは、相手によっては致命的であり、取り返しがつかないことになりかねない。
また、エレベータホールには、気がきかない警備員しかおらず、六本木ヒルズクラブの接客係員の姿がなかった。これも失態と言える。特定の客を特に丁重に扱うことは、同時に、他の客を粗末に扱う(少なくともそういった印象を与える)危険性をはらんでおり、警備員まで配置するようなことをするのであれば、係員に見送らせて、そのあたりで失態がないようにするといった程度のことは、この種のクラブであれば必要であろう。
そういった係員がいれば、気がきかない警備員をうまくフォローして、私を巧みに誘導し、不快な思いをさせないまま、別のエレベータに乗せることができたはずである。ちょっとした気配り、心遣いが、他人の気持ちに与える影響に大きな差異を生むものであるが、上記の出来事から、そのことを改めて認識させられる。
日常の中での、ちょっとした出来事であるが、こういったところからも、自分自身にとっての教訓を見出すことができることを改めて感じた。