個人情報保護法、捜査に深刻な支障…照会拒否500件

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051017-00000001-yom-soci

警察庁では「保護法の全面施行前はあまり見られなかった現象で、捜査に深刻な支障が出ている」として、調査結果を詳細に分析するとともに、今後、関係機関に理解を求める方針。

「深刻な」は、オーバーじゃないですか。弁護士照会等と違い、警察の場合は、捜査照会で応じられなければ、令状による差押等ができるはずです。
令状も出ないような捜査照会を、「捜査のため必要がある」と称して行ったところ応じてもらえなくて「深刻な支障」が生じているというのであれば、それは、そもそも捜査照会を行うのも不適当、不必要であるというだけのことでしょう。
そもそも、刑訴法197条に基づく捜査照会に応じる義務はないというのが有力な考え方であり(義務があるという考え方もありますが)、「応じないのはおかしい」という一方的な見方に基づく、こういった記事の作り方もおかしいでしょう。
警察へのサービスもほどほどにしないと、「報道機関」として見苦しいですね。

追記:

私自身、自ら捜査を行っていたこともあり、捜査照会が機能することの重要性を否定するものではありません。
ただ、一つ言えると思うのは、個人情報保護法施行にとどまらず、最近の国勢調査の難航にも見られるような、プライバシー全般に対する意識の高まりなどから、照会を受けたほうとして、回答してよいのかどうか判断がつきかねるケースがどんどん増えており(「通信の秘密」が問題になるケースも含まれます)、今後もそのような傾向が強まることは確実だということです。
現実的な解決策としては、捜査である以上、裁判所の公権的な判断に基づく令状発付(強制捜査)しか、当面は見当たらないでしょう。あるいは、照会を受けたほうが迷わずに済むような方法(別の種類の照会を新設するなど)を検討するべきなのかもしれません。
上記のような問題が生じている背景にも目を向けるべきかと思い、追記しておきます。