河村一男「日航機遺体収容」(イースト・プレス)

日航機遺体収容―123便、事故処理の真相

日本からの飛行機の中で一気に読みました。
著者は、日航機墜落事故発生当時の群馬県警本部長で、この本では、墜落後、その年の末頃までの警察やその他の機関の動きを追っています。
単に、当時の状況を振り返るだけでなく、この種の大事故における遺体の確認や遺品の返還の際に発生する諸問題、警察や他の機関との連携の難しさ、善意で動く人々がいる一方で、自己中心的に、あるいは自己顕示欲に駆られて動く人々の実態など、様々な人間模様が赤裸々に明らかにされており、危機管理も含め、参考になる内容であると感じました。
著者の、当時の日本航空や社長をはじめとする幹部に対する見方は非常に厳しく、この本で指摘されている幾つもの問題点は、現在の日本航空も改善できずに抱え続けているのではないかと強く危惧されました。
この事故を知っている人も、知らない人も、事故後20年を迎える中で、一読に値する本であると感じた次第です。
人生の半ばにして、思いがけず亡くなった多くの方々のご冥福をお祈りしたいと思います。