企業犯罪と捜査機関

tedie 『UFJは予想していなかったので、MOF担およびトップの人たちは冷や冷やしているかもしれません。外資系金融機関のなかには、人身御供ポジションがあり、もしかのときは全責任をかぶって、(その後生活の保障と引き替えに)罰金なり、執行猶予を甘受する人たちがいるとの噂があります。』

企業が絡む犯罪(ここで想定しているのは故意犯)について、捜査が進捗する場合、一般的に(もちろん、例外や種々のバリエーションはありますが)、①正に責任を問われようとしている末端従業員あるいは中堅管理職の刑事責任②中堅管理職からラインをたどって上層部(トップまで)に至る人々の刑事責任(共謀共同正犯)が、よく問題になります。捜査機関は、ラインをたどって上へ上へと追及の手を伸ばそうとしますし、企業側は、そのように事件が伸びれば伸びるほど、組織が被る打撃が大きいので、何らかの形で誰かが刑事責任を負わざるを得ない場合は、できるだけ「小さくまとめて」事件が終わるようにしたいと思い、そのような方向で動くものです。捜査機関としても、なかなか調子よく上へ上へと事件が伸びるものでもなく、いずれはどこかで限界が来るのが通例で、双方共に「手詰まり」といった状態になることが少なくありません。
 時々、大型の経済事件とか贈収賄事件などで、大物の「ヤメ検」が動いて(元検事長とか元最高検何とか部長とか)、「取引」が行われたなどとささやかれることがありますが、言われているような取引があるかどうかはともかく、上記のような状況の中で、双方が歩み寄り、認めるべきところは認め、刑事責任追及が難しい部分は諦めるという話がされているところを指して、批判的に言われることが多いと思います。一種の「必要悪」でしょう。
 「認める」部分で、実態以上の責任を、「組織の問題ではなく個人の資質の問題だった。」などと汚名を着せられて、かぶる人も出てくる場合がありますから(一種の人身御供)、そういう人が出てきた場合、外資系金融機関に限らず、それなりに力のある会社であれば、事件のほとぼりが冷めた頃合いを見計らって、目立たないように(菱が3つついているどこかの自動車会社のように、役員として華々しく復帰するという、他人事ながら恥ずかしくなるような会社も稀にありますが)、系列の会社のそれなりのポストを用意したりすることも少なくありません(会社としては、捜査段階から、そのあたりの処遇を約束して、「認めさせる」わけです)。
 今回のUFJの事件(「事件」になったとして)でも、上記のような経緯をたどることが予想されますし、どこかの時点で大物ヤメ検でも出てきて、幕引きへと向かう可能性はあると思います。