東京高裁、袴田死刑囚の即時抗告を棄却

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040827-00000003-yom-soci
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040827-00000097-kyodo-soci
http://www.sankei.co.jp/news/040827/sha049.htm

しかし東京高裁の決定は、確定判決について「犯人の衣類を中心とする強力な証拠がそろっており、この事実のみでも袴田死刑囚が犯人であることは動かしがたい。自白は犯人を認定する上で確認的な役割しか果たしていない」と認定。弁護側が新証拠として提出した凶器や衣類の鑑定については、いずれも「信用性に乏しい」などと退けた。

決定理由で安広文夫裁判長は「犯行と死刑囚の結び付きについては、衣類を中心とする強力な証拠がそろっている」と指摘。事件から約1年2カ月後に現場近くで見つかった衣服について「残っている血痕や傷は、犯行時に着ていたという認定に疑問を生じさせない」とし、凶器も「被害者の傷ができないとはいえない」と認定した。

即時抗告審では、事件から約1年2カ月後に現場近くで見つかった衣服が袴田死刑囚のものかどうかが争点だったが、安広裁判長は「服に残る傷や血痕の状況などを検討しても、犯行時に着ていたという認定に疑問はない」とし、発見状況も「弁護人が言うような疑問はない」と述べた。

この事件の「証拠構造」をどう見るか、が、まず大きな問題でしょう。当事者ではない者が軽々しくは論じられませんが、今回の決定も、また、過去の有罪判決等も、発見押収された衣類(公判中になって、唐突に発見押収されたものと聞いています)が、①犯行当時のものであり、かつ、②元被告人のものであると認定できる、ということを、有罪認定の極めて大きな柱にしているのではないかと思われます。そうすると、今回の決定が述べるように、自白は、細部で問題があっても、「犯人性を認定する上で確認的な役割を果たすに過ぎないもの」という、相対的に軽い証拠価値しか置かれない、ということになるのだと思います(証拠を直接見ていないので、このような判断の当否については、私には即断できませんが)。
弁護団としては、上記の①②を崩すべく、警察による証拠ねつ造などの可能性を含め、立証に努力したようですが、確定判決を覆すだけのものは出し切れなかった、ということになるのでしょう。