近視眼的な流通促進はダメ、ACCS久保田氏が「ネット法」に異論

http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/04/15/19220.html

「テレビの二次利用では、著作権だけでなく肖像権の問題もあり、例えば報道番組を再利用する場合には憲法上の人権に関わることもある。こうした実態を検討せずに、近視眼的に『流通促進、流通促進』と言って、イメージだけで著作権制度を悪者にしていないか。制度を変えれば『夢の流通』が実現するというのは疑問がある。まずは基本的な権利処理問題を解決してビジネスモデルを考えるべき。それがダメで、なおかつ法制度が足かせになっているならば著作権法改正をすればいい。」

ネット権といった権利が、そのまま認められる可能性は低いと思いますが、現行の著作権法等がインターネット時代の中で古びてしまいうまく機能していなかったことや、何をどのように変えて行くべきか、といったことを考える上での良い材料になるのではないか、と思います。

Winny開発者の金子勇氏が逮捕された理由について、画期的なソフトを開発したから逮捕されたという論調があると指摘。これを「間違った評価」と語る久保田氏によれば、金子氏は「Winny1」シリーズを開発、それが著作権侵害を蔓延させている状況にありながら「Winny2」を作り、さらにバージョンアップして配布したとしているが、警察はこれら一連の流れを慎重に判断した上で摘発に踏み切ったと説明した。

警察に対する信頼が、随分大きいようですが、この事件についての様々な問題点の一つとして、開発したソフトが悪用された場合に、開発者が幇助犯として処罰されるかどうかの「分水嶺」のようなものが不明確のまま、ということを忘れるべきではないでしょう。そのあたりが不明確であっても、警察が慎重に捜査、摘発しているのだから警察を信頼すべきだ、というのは、一種の「警察国家」的発想であり、主権者である日本国民は警察のお慈悲の中で細々と生きるべき存在ではない、ということを強く指摘しておきたいと思います。

「国民の理解得るよう努力」・裁判員制度で最高裁長官

http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20080415AT1G1404F15042008.html

鳩山邦夫法相は15日の閣議後記者会見で「国民に制度の趣旨や意義を理解してもらい、進んで参加していただけるようにすることが重要」と指摘。「裁判員の任務の具体的内容や、仕事や育児などの理由で辞退できることを説明すれば、不安はなくなると思う」と話した。

今朝、NHKのニュースを見ていたところ、裁判員制度実施で困惑する国民の姿が紹介されていて、お気の毒だな、と思うと同時に、江戸時代に人々を苦しめた「生類憐みの令」を思い出しました。
生類憐みの令も、元々は、生き物をいつくしむという、それ自体としては誰にも異論がない目的から発せられたものでしたが、その後、一人歩きして当時の人々を大きく苦しめたのは歴史の本にも書いてあるとおりです。裁判員法や裁判員制度にも、非常に似通った面があり、日本史上、生類憐みの令以来の「天下の悪法」として歴史に残ることになるかもしれません。

かつて陸軍中野学校→警察大学校 “教育”歴史の地 早大新キャンパス

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2008041602004101.html

早大は、本部のある新宿区西早稲田の近隣での新キャンパス開設を模索したが、東京メトロ東西線で三駅区間警察大学校跡地が売却されることになったため、開設先に選んだ。同大学校は戦後、かつての陸軍中野学校跡地に警視庁警察学校などと共に開設され、〇一年に府中市内に移転された。
陸軍中野学校は戦時中、諜報(ちょうほう)要員を育成し、旧日本軍のアジア進出にも大きな役割を担った。早大では四年制の長期留学生の約九割を韓国、中国の学生が占める。こうした歴史のある土地ではアレルギーが出るのではとの指摘に、早大広報室は「議論にならなかった」という。

上記の跡地は、中野駅からも近く、早稲田大学の本部キャンパスからも近くて便利でしょうね。良い場所が確保できてよかったと思います。
陸軍中野学校については、以前、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20070528#1180283583
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20080120#1200759445

でコメントしたことがありますが、諜報という非情の世界に生きる者に対し、そうであるからこそ、「至誠」ということを叩き込む教育を施していて、早稲田大学としても、アレルギーどころか、むしろ学ぶものが多いのではないか、という気がします。

私も元・名ばかり管理職

名ばかり管理職」訴訟、元課長に残業代など支払い命令
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080416-OYT1T00495.htm

最近、何かと話題の「名ばかり管理職」ですが、私自身、社会に出たときから「名ばかり管理職」でした。
検事に任官した際、管理職員に任命するとか指名する、といった妙な辞令をもらったので、これは何ですかと検察庁で聞いたみたところ、残業代を出さないために、検事は新任検事の時から管理職員にしておく、といった説明を受けました(約20年前のことですから記憶が定かではありませんが)。
最近は、同期や後輩の検事が次々と昇進していますが、私は11年余りで検事をやめ、最後まで「平」検事だったので、最初から最後まで「名ばかり管理職」だった、ということになります。検察庁にいた当時、休日を返上したり、夜遅くまで残ったりして随分と働きましたが、残業手当というものは1円ももらったことがなく、途中から、休日出勤手当というものがある程度出るようになったのと、夜10時以降まで働くときは夜食手当(とかいう名前だったと思います)が、確か1回600円ほど出た程度で、他には何もありませんでした。
そういった苦労が報われることもなく、現在に至っていて、私も名ばかり管理職の1人だったな、と、この種のニュースを見ると思うことがあります。