ETC車にはねられ料金所員死亡、「双方に過失」判決

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050320-00000301-yom-soci&kz=soci

今月1日の判決によると、運転手は昨年5月7日午前11時10分ごろ、大阪府豊中市阪神高速池田線空港料金所のETC専用レーンを時速70〜80キロで通過、男性収受員(当時63歳)をはねた。ブース手前650メートルは制限時速40キロ。収受員は、誤ってETCレーンに進入した車から料金を受け取って戻る途中だった。

 鈴島裁判官は「被告は、制限速度を大幅に超えており、減速と安全確認があれば防げた事故。被告の責任は軽視できない」としながらも、「ブース間は原則横断禁止で、被害者にも落ち度がある」と指摘した。

ETCレーンに制限時速があるとは知りませんでした。時速40キロで走っていて、安全確認を行っていたとしても、本当に防げた事故なんだろうか?という疑問も生じますが、証拠上はそうなっているのでしょう。

追記:

料金所の通り方(日本道路公団
http://www.jhnet.go.jp/format/index3_05.html

「ETCレーン進入時で、時速20Km以下が目安です」とされています。

地下鉄サリン事件から10年 遺族や被害者になお続く痛み

http://www.tokyo-np.co.jp/00/detail/20050320/fls_____detail__003.shtml

あれから10年、ということには感慨を覚えます。事件発生時の私は30才で、まだ若くて未熟な検事でした。今の状態で、10年前にタイムスリップでもすると、もっと充実した取り調べ等ができるような気がします。無理ですが。
亡くなった方々のご冥福をお祈りするとともと、今なお後遺症で苦しむ方々が1日も早く回復されることを望みます。

地下鉄サリン事件東京メトロ6駅で追悼行事
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050320-00000018-mai-soci

父(63)が被害に遭ったという千葉県我孫子市の男性会社員(33)は「父はサリンが置かれた車両に乗っていた。亡くなった職員の2人に命をかけて助けていただき、元気になることができた」と話し、献花して感謝の思いを伝えたという。

ライブドアニッポン放送問題で、よく語られる「公共性」ですが、真の意味での公共性というのは、こういうことではないかと感じました。
乗客の安全のために、尊い生命を失われた地下鉄職員のご冥福をお祈りしたいと思います。

親の喫煙、子に「害」じわり…動脈硬化のリスク高まる

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20050319ic01.htm

成人後に心筋梗塞(こうそく)などを引き起こす危険が子供の時から高まることになり、特に母親の喫煙の影響が大きい。

喫煙は、自分を不幸にするだけでなく、家族も不幸にするということでしょう。吸っている人は、今すぐやめましょう。

ガルーダ航空パイロット逮捕、機内で人権活動家殺害容疑

http://www.asahi.com/international/update/0319/003.html

ガルーダ航空の幹部が事実隠蔽(いんぺい)のため、同容疑者の出張許可に関する書類を偽造していたことも明るみに出ており、地元メディアは「政府の情報機関の指示があった疑いが強い」と報道。警察は慎重に背後関係の捜査をすすめている。

ガルーダ航空インドネシア国営なんですね。インドネシアに敵対したり、批判したりしている人は、乗らないほうが身のためでしょう。

winny幇助公判・3月18日証人尋問(その1)

以下は、私のメモに基づくものです。実際は問答式ですが、そこまではメモが取れないので、供述調書風に物語形式で要旨をまとめています。メモなので、抜け落ち、結果的に不正確なところもある可能性があります。その点、ご注意下さい(その2以下も同じ)。
なお、所々で、私のコメントを入れていますが、単なるコメントですから気にしないで下さい。

1 田中警察官の証人尋問

(弁護人の反対尋問に対して)
平成15年12月20日ころ、佐藤警部から指示を受け、被告人について立件することになった。立件については、佐藤、木村、田中で主に検討した。
被告人の供述調書の内容は、前回の証人尋問前にも見たが、平成15年12月20日ころから同月26日の間にも見た。立件の理由は、同年11月27日の取り調べに対して、「著作権法違反をまん延させる目的」などと供述したからである。
被告人が開設しているウェブサイトは見た。2ちゃんねるでの発言内容も見たが全部ではない。
被告人方の捜索差押の際は、自分も含め5名で行った。午前9時に開始し、午前10時50分に終了した。その後、被告人方から車で程近い本富士警察署に移動し、午前中から取り調べを開始した。5名の中で、自分を含む3名は、先に車で京都へ戻り、取り調べは木村とアキホが行った。こういった分担は予め決まっていたことである。
技術面については、木村が詳しい。被告人の立件を検討、決定した際には、木村も意見を言っていたと思う。
11月27日の供述調書(以下、「11・27KS]と略)はアキホが作成した。同日付の申述書もある。
11・27KSに、「著作権法違反をまん延」という記載は出てこない。乙1号証の申述書は、被告人が自ら書いたものであるが、ここには「インターネット上にまん延」といった記載がある。「まん延」は申述書が根拠になると思う。申述書に見本があったことは、前回の裁判の木村証言まで知らなかった。この点に関する佐藤警部の認識についてはわからない。見本について、自分が忘れているだけかもしれない。木村証言の内容はインターネットで知った。

(落合コメント)
見本がありながら、田中が知らなかったというのはいかにも不自然。証人も、その点は自覚しているようで、「忘れているだけかもしれない。」と補足したという印象を受けた。
なお、あくまで一般論であるが、こういった申述書(令状発付の際の疎明資料になったり公判提出が予想されるもの)が作成される場合に、被疑者が、何も見ないまま、いきなり書く、ということは、まずないと考えて良い(特に本件のような重要事件では)。被疑者に予め何度か下書きさせ取調官が「添削」した上で「決定」したものに基づいて作成したり、取調官作成の見本に基づいたり、あるいは、取調官が口で言う内容を書き取らせる、など。
また、警察官証人の尋問結果について、他の警察官証人が十分知らないまま(インターネットで見た、という程度で)出廷するということも、一般的には考えにくい。検察官から警察に速記録が提供されてる場合が多いし、証人本人や傍聴席に来ている警察官から、事後に証言内容が書面で報告されている可能性が高く、他の警察官証人が、そういった書類を見ないまま出廷しているとは、一般的には考えにくい。この点について、弁護人の尋問があっさり終わっていたことについては、傍聴していてやや物足りなさを感じた(事件の本筋ではないので固執するのもどうかとは思うが)。
(コメント終わり)

(続く)

未婚職員にも「結婚祝い金」 松山市職員共済会

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050320-00000018-san-soci

市などによると、同会の結婚祝い金は、既婚者の職員に対して結婚時に八万円が支給。さらに結婚十五年目に五万円、二十五年目に八万円がそれぞれ支給されてきた。
一方、昭和五十三年から、未婚者の職員にも同会への入会十五年目に五万円、二十五年目に八万円が支給されてきた。

結婚を続けることに意味があると考えた上での奨励金なんでしょうか。「職員間の不公平をなくそうとして決めた。」などと言い訳しているようですが、そもそも趣旨の不明確なお金は一切支給しなければ、不公平も生じないでしょう。

経営側の9割「問題あり」 成果主義に悩む労務担当者

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050320-00000059-kyodo-bus_all

1990年代後半から急速に導入が進んだ米国型成果主義だが、日本型の人事処遇制度やチームプレー重視に必ずしもなじまずに各企業が悩んでおり、運用面で修正の方向に進んでいることが分かる。

問題は、成果の測定でしょうね。成果が測定しにくい仕事もあります。
営業など、金額やその他の目に見える結果が出る場合はわかりやすいですが、例えば管理系の仕事の場合、成果の測定は非常に困難でしょう。私のような仕事をしていると、いろいろな関係者と交渉して、大きなトラブルになる前に円満に解決、終息させる、といった場面が少なくありませんが(その結果無駄な裁判費用が節約できたりします)、これが企業の業績評価の対象になれば、「よかったな。」程度で終わってしまう可能性が高いでしょう。
評価を行う側のスキルアップも必要不可欠ですが、その点についても、非常に問題があるケースが多いようです。
日本人の「就社」意識がもっと低くなり、労働市場がさらに流動化して、職種やスキルに応じて報酬が決まる、という傾向がもっと強くなる必要があるのではないかと感じます。

「子どもに見せたくない情報に対して出来ること」

3月24日に、

http://www.iajapan.org/hotline/seminar/20050324.html

というセミナーがあり、私もパネリストとして参加予定ですが、参加にあたり、この問題点に関する私の基本的な考え方を一通りまとめておきたいと思います。なお、もし可能であれば、当日、パネルディスカッションの中で、このエントリーに基づいた簡潔なお話もしたいと思っています。
まず、反発を予想しつつ、あえて指摘しておきたいのは、この問題は、日本国憲法で保障されている「表現の自由」や「通信の秘密」との間における緊張関係を避けることができない、ということです。この点については、以前、このブログで

暴力事件で波紋 AV規制 強化すべきか
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20050212#1108206797

と述べたことがありますが、「有害」と言っても、わいせつなもの(児童ポルノを含む)、残虐なもの等々、内容に問題があるもののほか、いわゆる出会い系サイトや一部の掲示板など、そこに掲載される情報だけでなく掲載の場や運営方針自体に問題が感じられるものなど、正に様々であり、そういったものを法令により直接的に制約することは、上記のような対立する諸権利等との衝突を生じうるだけでなく、全世界的に多種多様な情報が流通する中で、日本人や日本国内に拠点を有する者が関与する情報に限って法令により規制をかけることは、実効性の点でも非常に疑問があると言わざるを得ません。
この点については、

残虐ゲームソフト、大阪府が規制を検討
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20050308#1110262689

でも述べたとおりです。
しかし、発達途上にある青少年の健全育成という観点から、そのような健全育成を阻害すると思われる情報に接しないようにした上で、心身及び判断能力の発達に応じて、そういった制約を徐々に解除して行くというのは、やはり必要なことでしょう。表現の自由の中には、情報受領の自由も含まれますが、発達途上にある青少年が、そのような自由について、必要な制約を受けることはやむをえないことです。
この点について、私が示唆に富むと考えたのが、昨年11月の情報ネットワーク法学会で行われた講演の中の

「インターネット上の青少年に有害な表現の法的規制について」(大阪経済法科大学・永井善之氏)
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20041106#1099709147

でした(残念ながら講演自体は聞けず、上記エントリーは配布資料に基づくものです)。
永井氏は、この分野の法的規制について、諸外国(主としてアメリカ、イギリス)の取り組みとして

1 法的規制による方向で進むアメリカ型(但し、表現の自由等との関係で違憲判断が出るなど問題が噴出している)
2 公的な団体による自主規制の方向で進めるイギリス型(但し、問題があっても、「自主」によるものということで責任の所在が曖昧になる等の問題がある)

を紹介の上、今後の日本の進むべき方向として、

1 フィルタリング機能について、保護者が任意に選択・決定しうる形での、プロバイダや端末メーカーへの整備・搭載の法的義務づけ
2 フィルタリング以外の方法による自主的規制
3 国家による、自主的規制に対する各種支援や協力体制の構築

を提案されています。
私は、基本的な考え方としては、このような永井氏の提案のような方向性が望ましいと考えています。表現の自由等を保障しつつ、青少年を有害情報から守るという見地からは、情報の受け手である青少年の側に力点を置きつつ、実効性ある自主的規制を進め、それを国家(地方公共団体も含む)が支援する、という方向が望ましいと考えます。
この点については、最近の報道で、

子どものネット利用を制限する親が増加、米調査
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20050319#1111161587

とあり、上記エントリーについて、コメント欄で、アメリカ在住の方から、

うちの子は保育園の頃から学校でコンピューターを使う機会がありました。
公立の学校(うちの場合は保育園と幼稚園)にあるコンピューターでは教育とは関係がないとされるようなサイトにはアクセスできないように設定していあるようです。
地元の図書館などのコンピューターもエロサイトなどは大人でも閲覧できないように設定されているようです。
以前、アタシは適度にエロがあるしりとりをとある掲示板で運営していました。そこなどは日本語で投稿がされていたのに、何かが引っかかったようで、図書館のコンピューターではアクセスを拒否されました。
このように家庭外でも子供にはエログロやチャットができないように配慮されているのだから、肝心の家庭で親が気をつけないということはないのだろうと思います。

アメリカのAOL.comだとParental Controlsという無料のサービスがあり、自分の子供がどのサイトを閲覧したのかメールで親に届けるなどという選択ができるようです。

とのコメントがありましたが、我が国における今後の取り組みを考える上でも参考になります。
ただ、フィルタリング機能に関するプロバイダや端末メーカーへの整備・搭載の法的義務づけやフィルタリング以外の方法による自主的規制を考える場合でも、「法的義務を負わせれば足りる」「自主的規制を行うように公権力が圧力をかける」といった方向へ陥らないよう、十分な注意、配慮が払われるべきでしょう。現状で、フィルタリングソフトには限界があり100パーセントはフィルタリングしきれないことは周知の事実ですし、家庭における教育機能の強化が行われないと、いろいろな方策を講じても、実効性は期待できず、正に絵に描いた餅になりかねません。
この点について、以前、

ネット有害情報選別、都がプロバイダーらに努力義務化
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20050125#1106579651

と述べたことがありますが、この東京都条例は、法的義務を課すことを偏重しすぎているのではないかと強く危惧されるところです。こういった問題に対する社会全体の関心を高めて、法的義務の有無に関わらず、プロバイダー等が真剣な取り組みを行うことが求められるような環境を作って行くことにこそ、国や地方公共団体の施策の重点が置かれるべきではないかと思います。
なお、私の考え方は、有害情報の中での違法なもの(犯罪とされているもの)について、捜査機関による取締りを排除するものではありませんし、社会を健全なものとして維持するためには、そういった取締りも必要でしょう。ただ、捜査機関の態勢には自ずと限界があることや、そういった限界の中で、多種多様な違法行為の一部を取り締まることは、捜査機関に恣意的な意図はなくても恣意的な印象を与え、不公平感を生み、今後の違法行為の抑止に結び付かない恐れがあることは、十分認識しておくべきでしょう。

winny幇助公判・3月18日証人尋問(その2)

(田中警察官に対する弁護人の反対尋問・続き)

12月26日は、被告人に対し、捜索差押をやり直すとともに、供述の確認を行った。前回とは違う取調官により取り調べようとは考えなかった。その点について、問題意識とか、前回の取調官である木村の予断ということは考えていない。
被告人開設のウェブサイトには「まん延」という言葉はない。
(被告人のウェブサイトを提示の上、その中の記述に関するやりとりあり、P2P技術が著作権侵害にも使われうるかどうか、といった点について、検察官が「意見を求めている、誤導である」等と異議を申し立て、弁護人は「証人の当時の認識を聞いている」と反論し、裁判長は、「捜査経緯を中心に聞くように」と述べて尋問を続行させた)
被告人と姉のメールのやり取り(甲119号証)だけからは、被告人の考え方はわからないと思う。2ちゃんねる中の「まん延」という言葉の有無も含め、言葉にこだわっているわけではない。

(続く)