ライブドアブログにおける削除措置について

既に指摘した、ライブドアの削除問題に関連して。私は、削除されたブログ自体を見ていないので、削除自体の当否については何とも言えません。
ただ、現在問題となっている、イラクで人質となって殺害された方の殺害場面に関する画像(動画)について、少しコメントしておきます。予めお断りしておきますが、私は、インターネットでその場面を見て、あまりの悲惨さに慄然としましたし(いかなる考えがあるにせよ、人間が人間に対してここまで残虐なことができるということを改めて認識させられショックでした)、ああいった場面を、不特定多数の目に触れさせることには、個人の信念として賛成できません。以下に述べることは、法律的な観点からのものですから、その辺をご理解いただき、勘違いしたコメントとかメールなどは、くれぐれもご遠慮下さい。
あのような画像(動画)を不特定多数に対して公開することは、犠牲者の遺族の、犠牲者に対する思慕の情、思慕権といった権利を侵害する恐れの高い行為であると言えます。その意味で、法務省が、そういった画像(動画)を掲載していた掲示板等の運営者に対して削除要請を行ったことは、もちろん基本的に正しい措置であると思います。
ただ、そういった画像(動画)を公開する側の表現の自由、というものも、無視するわけには行きません。もちろん、表現の自由と言っても絶対無制約ではなく、上記のような権利と、表現の自由との間の比較較量を行うしかないでしょう。表現の自由が優越するためには、公益性、公共利害性、被害者遺族の権利を制約してまでもそういった画像(動画)を公開する必要性といった観点から、吟味される必要があると思われます。
その意味で、問題となっている画像(動画)を公開する表現の自由のほうが優越するということは、考えにくいとは思いますが、公開者の意図や表現内容全体等を総合的に検討する中で、優越する可能性が皆無とも言えないと思います。
従来の裁判例を見ていても、こういった比較較量の手法はよくとられており、いろいろな要素をきめ細かく検討することによって、できるだけ適正妥当な結論を導こうと努力されていることは、憲法などを勉強したことのある方なら理解できるでしょう。
こういった手法をとらずに、公序良俗とか、利用者が不快感を覚える、といった「一刀両断」的な判断手法に依存すると、公序良俗の中身がよくわからないまま、どこまでの表現が利用者に不快感を与えるのか不明なまま、「まあ、これなら削除だろう」といった、場当たり的、恣意的な判断により削除等の措置が講じられることになり(逆に、そういった判断で、本来、削除相当なものが削除されないといったことも起こりえます)、やはり、妥当とは言えないのではないか、と思うのです。
確かに、こういった判断には、なかなか難しいものがあります。「バイト君」では判断がつきかねるでしょう。
しかし、例えば、

http://blog.livedoor.jp/yom/archives/9146103.html

で、

いや、私ね?かなりヘビーなブロガーなんで、本当に記事の削除ってショックだったんですよね。
もうね、一生懸命作った作品を壊されてしまったって感じです。
もちろん、私のBlogを好んで訪問して下さっている方々にも申し訳無いです。

と述懐されているのを読むと、小倉先生のブログ

http://blog.goo.ne.jp/hwj-ogura/e/fc59ceb9970b1775aaa348cef9180d96

での、

クレーム処理を迅速に行おうと思えばアルバイト等を雇ってこれにあてるなどしなければやっていられない経済的な現実があり(まさか、社内弁護士をこのためだけに雇うわけにもいきませんし、三振法務博士が大量に輩出されるまでにはまだ時間がかかります。)、そのようなクレーム処理部隊に「ぎりぎりの判断」を求めてみても能力的に難しいわけですから、「怪しいと思ったら削除せよ」という社内マニュアルを作っていたって不思議ではないし、それはあながち非難できない

という主張(確かに、そう言う現実があるのは事実であり傾聴すべきとは思うのですが)が、特に「削除されてしまう側」の利益保護、納得という意味で、全面的な理解を得られるのは、やはり難しいのではないかと思わざるを得ません。
「三振法務博士」が大量に輩出?されるまで待っているわけにも行かないと思うので、上記のような判断が、迅速、的確にできる人材(弁護士にとどまらず弁護士以外も)を、今後、できるだけ養成するということも真剣に検討する必要があるでしょう。

司法試験、最多1483人合格…早大が東大に並ぶ

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20041110i111.htm

合格者が約1500名ですか。随分増えましたね。私が合格したころの約3倍です。母数が違うので、合格者の絶対数で勝った負けたと一喜一憂してもあまり意味はないと思いますが、早大OBとしては、後輩ががんばって沢山合格してくれるのは、素朴にうれしいです。

オウム分派グループが「地獄のカルマ落とし」

話題の「ケロヨンクラブ」の事件です。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041111-00000306-yom-soci

刑事責任(傷害致死罪)の有無及び程度を決める要素としては

1 被害者の同意があったか、あった場合であっても、どこまで同意していたか
2 「修行」と称して行われていた行為の必要性、宗教上の意味づけ
3 同種行為が反復継続して行われていた場合に、健康面への配慮や負傷の治療状況
4 被疑者らの主観的な事情(故意)
5 問題となっている行為及び生じた結果を全体として見た場合の社会的相当性

といったあたりになるのではないかと思います。
結果無価値論者からは、5が、「法益侵害の危険性」ということになると思いますが、実務的には、行為態様も含めて全体としての社会的相当性を見る、という手法が、やはり判断しやすく感じます。

裁判外紛争手続き、社労士にも代理権 政府方針

http://www.asahi.com/national/update/1111/016.html

こういう流れになっていますし、今年の段階で既に司法試験の合格者が約1500名に達し、これが少なくとも3000名程度まで増加するわけですから、司法試験に合格しさえすればその後の人生は安泰、という状況ではまったくないと言えるでしょう。
こういった厳しい現状を的確に認識した上で、それぞれの(既に法曹になっている人を含めて)身の振り方を考える必要があると思います。
「公証人」という司法利権も、「利権」としては、いずれなくなることが必至ですから、裁判官や検察官を勤め上げれば老後は左うちわで暮らせる、という人生設計も困難になるでしょう。

読売新聞、系列局42社で第三者名義株 制限超過12社

http://www.asahi.com/national/update/1111/029.html

ここまでやってしまうと、読売新聞も、もはや弁解は不可能でしょう。
他の会社のコンプライアンスがどうのこうのと、偉そうに言う前に、自分の会社のデタラメなコンプライアンスを何とかすべきでしょうね。

電波法や放送法に基づく省令では、複数の放送局で20%以上の株主議決権を持つことができない。放送局の大株主が他の放送局の株を持つことに一定の制限を課す措置で、表現の自由の多様性を確保するための「マスメディア集中排除原則」と呼ばれる。
 ところが、42社のうち、テレビ局9社とラジオ局3社については第三者名義分を含めると、この制限を超えることが判明した。
 総務省地上放送課によると、5年ごとの放送免許の審査時には、この規制の順守が義務づけられている。同課は12社から事情を聴いて是正を求める方針だ。

是正するのは当然のことで、放送免許の取り消しを含めて検討すべきじゃないでしょうか?>総務省