「児童養護施設施設長殺害事件 児童福祉制度の狭間に落ちた「子ども」たちの悲鳴」 

 

書店でたまたま見かけ、この事件は印象に残っていたので読んでみました。NHK番組のほうはまだ観ていないので、観られたら観たいと考えています。

被害者は、児童養護施設の施設長として、本件の犯人に対しても、また、多くの子どもたち、施設を出て成人に達した人々に対しても、職員、施設長という枠を越えてまで親身に、誠実に、日夜努力して接していた方で、犯人側にも精神上の問題があったとはいえ(それにより不起訴処分になっています)、非常に残念な結果になってしまいました。

本書では、そういった殺人事件の経緯だけでなく、このような事件が起きる背景にある児童養護施設やその置かれた環境における様々な問題点を丹念に紹介していて、読んでいてとても参考になるものがありました。

読んで特に強く感じたのは、今後も、児童養護施設やその他の施設において、充実したケアができるだけの予算措置、人員配置を強化する必要があり、また、原則的な収容期限である18歳を経過した後も、個々のケースに合わせつつ、必要なケアが行えるようにすべきだろうということでした。

社会には、不幸な家庭に生まれ育ち、身体的、精神的なハンディも抱えつつ、もがき、苦しむ人々が確実に存在しています。そういった人々に、光を当て必要なサポートをしていける、そういう国家社会を我々はさらに目指すべきだと、読み終えて改めて感じました。

 

「約束してくれないか、父さん:希望、苦難、そして決意の日々」

 

アメリカのバイデン大統領の著書ですが、新聞の書評で紹介されていたのを見て興味を感じ通読してみました。

バイデン氏の長男が、脳腫瘍で早世したことは、日本でも報じられ広く知られていますが、その経緯や、その間の副大統領としての難しい案件への取り組み、オバマ大統領後の大統領選へ出馬するかどうかの検討や葛藤、ヒラリー・クリントンを後継に推そうと考え(おそらく)、バイデン氏との友情は尊重しつつも大統領選については微妙にギクシャクするオバマ大統領との関係などが、同時進行で描かれて、緊張感の中でストーリーは進んでいきます。やがて長男は懸命の闘病後に早世し、バイデン氏は2016年大統領選への出馬を断念して本書は終わるのですが、その後、どうなったかは広く知られている通りです。

本書の解説にもあるように、本書は、バイデン氏が家族の不幸の中、一旦は大統領選への出馬を断念し、失意の中から再生していこうとしていた、再生の物語と言えるでしょう。執筆目的として(本書は2017 年時点で書かれている)、2020年大統領選への布石があったことは疑いなく、家族の不幸も政治に利用するしたたかさも感じないわけではありませんでしたが、叙述されている内容には、率直さ、心情を吐露していると感じるものがあり、政治家バイデンのコアな部分を垣間見るような思いがしました。

アメリカ副大統領が無用の長物的な位置づけになりやすい中、バイデン氏が、オバマ大統領の信頼にも拠りつつ、どういった活動をしていたかも紹介されていて、なかなか読ませる本だったなと感じています。

客は増えてるのに倒産!? 好調のゴルフ場業界に横たわる火種「2025年問題」って?

客は増えてるのに倒産!? 好調のゴルフ場業界に横たわる火種「2025年問題」って?(e!Golf) - Yahoo!ニュース

預託金制のゴルフ場に加入を希望する場合には、ゴルファーが預託金をそのゴルフ場に預け、ゴルフ場がその預託金を原資にゴルフ場の開発を行います。この預託金は基本的に無利子で据え置かれた上で、10年から20年程度の据え置き期間後、会員が退会の意思を表明した場合には償還されるというのが一般的な流れです。また会員はその要求をすることができます。

バブル崩壊からそれほど経っていない時期に、脱税事件の捜査の応援に入ったことがありますが、その事件の被疑者がゴルフ場も経営していて、ゴルフ場開発の際の話として、会員権販売で200億円集めて、うち100億円を開発に使い、残り100億円は自由に使える、といった供述をしていたのが思い出されます。当時は数千万円の会員権はザラでしたから、ゴルフ場開発、経営は旨味のあるビジネスでしたし、それに絡み、許認可を求めて贈収賄事件が起きるなど、いろいろありました。

預託金を、返すつもりでどこかにきちんと保管していた人、会社は、まずなかったはずで、バブル崩壊後、2000年代に入って数年くらいまでに、預託金返還を求められ倒産するゴルフ場が相次いだものでした。現状で、預託金絡みの問題が出ているゴルフ場は、会員が我慢して、あるいはゴルフ場に懇願?されて、預託金返還を控えていたのが、記事にもあるように、我慢の限界にきて返還請求が相次いで問題が顕在化する、ということなのでしょう。

上記のように、預託金返還請求が相次いだ当時の対応ノウハウをうまく活用しながら、ゴルフ好きな人が楽しめるように、うまくソフトランディングしてほしいという気がします。

 

 

感染した50代女性、病院が保健所に届け出せず 連絡なく自宅で死亡

感染した50代女性、病院が保健所に届け出せず 連絡なく自宅で死亡(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース

武蔵村山市武蔵村山病院や遺族によると、発熱とせきの症状があった女性は8月6日、病院の発熱外来を訪れ、抗原検査で新型コロナの陽性反応が出た。病院はこの日、女性を含め11人の感染をファクスで届け出るはずだったが、手違いで女性の分だけ送っていなかった。  

女性は保健所からの連絡を待つよう病院に指示され、家族とともに自宅待機を開始。同11日には「保健所から連絡がない」と病院に電話で問い合わせていた。病院は東京都多摩立川保健所(立川市)の電話番号を女性に伝えたが、届けを出していないことには気付かなかったという。女性の携帯電話には同じ日に保健所と約10分間通話した履歴があったが、保健所側には記録が残っていなかった。

裁判所と弁護士との連絡も、未だに電話とファックスばかりが使われ、旧態依然としたものですが、救いは、そこでやり取りに問題があっても人が死ぬことはないということでしょうか。

私も、今年の6月に、所用で海外へ行き、帰国後、3日間ホテルで隔離され、その後11日間、自宅隔離状態にありましたが、疑問点について所轄の保健所に電話しても、それは検疫の問題でうちは関係ありませんという事務的な対応で、こういうところに、コロナに感染して関わり合いになりたくないなと切実に感じたことが思い出されます。

こうして、連絡不備の狭間で尊い人命が失われても、病院や保健所にとって、言葉では美辞麗句を並べ立てても、単なる数値上の1名でしかない、ということに、大きな失望、恐怖を感じるものがあります。

覚せい剤で現行犯逮捕、「どん底」味わった元政治家が語る「更生」という言葉の重み

覚せい剤で現行犯逮捕、「どん底」味わった元政治家が語る「更生」という言葉の重み(弁護士ドットコムニュース) - Yahoo!ニュース

留置場で出会った人たちの中に医療・福祉が必要な人たちがいると知ったこと、自分自身が制度に救われたことなどから、まずは現状を「知ってもらう」ための活動が必要だと考えた。啓発のための動画を配信したり、大学やイベントで講演したりしている。

私も、検事として、弁護士として、無数の薬物濫用者を見てきましたが、再犯に陥らないためには、単に決意するだけでは駄目で、薬物を使用しない環境をいかにうまく作っていくかが重要だと感じます。良くない交友関係(シャブ仲間、のような)を断ち切ることも重要ですし、仕事に打ち込んで薬物を使用する暇もないような環境を積極的に作っていくことも必要でしょう。悪い交友関係を断ちにくいのであれば、転居して離れたところでやり直してみることも検討の価値があります。人ぞれぞれで、良好な環境作りをいかに形にしていくか、そこが大きな課題であり分かれ目になります。

そういう意味で、上記のような活動には意義があり、大いに頑張ってほしいと思います。

 

留守電に現金のお礼 日大前理事長の妻「たくさん頂いて」 脱税事件

留守電に現金のお礼 日大前理事長の妻「たくさん頂いて」 脱税事件(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース

理事長の妻は後日、籔本被告の携帯に電話し、留守電サービスに「紙袋の中を見たらたくさん頂いていて、ありがとう」などという趣旨のお礼のメッセージを残していた。

脱税事件の場合、問題となっている所得が誰に帰属するかが重要な問題で、そこを誤ると、真っ白な無罪になってしまうので、検察捜査時には慎重に検討すべき点の1つとされています。

報道によると、理事長の妻も、大きな影響力を持っていたようであり、そういう人は、よく「淀君」などと渾名がついたりするものですが、現金を持ってくる側としても、そういう妻のご機嫌を取ろうと、むしろ妻宛てに現金を持ってきているということもあり得ることです。理事長に、妻にというより「夫婦に」持ってきていることもあり得るでしょう。そういう帰属の問題を証拠によりクリアにしておかないと、全部が全部、理事長のものと認定した後に、そうではなく妻に帰属するものだという争点が出てくることがあり得ます。

特捜部、国税当局は、そういった点についても慎重に詰めの捜査を進めているのでしょう。

上記の記事にある留守電は、現金授受の裏付けになり得るとともに、贈られた現金が妻に帰属することを窺わせる可能性もあって、捜査当局にとっては手放しで喜べない証拠になる可能性はあると思います。

久しぶりの飲み会「酒弱くなった」「少ししか飲めず」…関西で救急搬送が急増

久しぶりの飲み会「酒弱くなった」「少ししか飲めず」…関西で救急搬送が急増(読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース

アルコールの健康被害に詳しい「小谷クリニック」(大阪市阿倍野区)の小谷陣院長によると、酒の主成分であるエタノールを日頃から摂取していると、脳の神経細胞が鈍感な状態が続き、同じ酒量では酔いにくくなる。だが、飲酒しない期間が続くと、神経細胞が敏感になり、少量でも反応しやすくなるという。

私も、コロナ下でお酒を飲む機会が激減していて、最近、たまにちょこちょこと飲むようになっていますが、飲むと、以前よりも酔いが回りやすく、酒に弱くなった感があります。元々、好きで仕方がないというほうでもなく、飲まなければ飲まないで困らないので、このまま弱くなって飲めなくなったら断酒しても良いくらいに考えていますが、記事を読み、飲まないと弱くなることが理解できました。

しばらく飲んでいない人、特にあまりお酒に強くない人が久しぶりに飲む際は要注意でしょう。