トランプ前大統領に対する起訴内容、ポイントを解説

トランプ前大統領に対する起訴内容、ポイントを解説 - CNN.co.jp

起訴書面からは、トランプ氏との不倫関係を主張する女性に対する口止め料支払いの計画がどのように立てられたのかが浮かび上がる。

16年10月、米テレビ番組「アクセス・ハリウッド」収録中のトランプ氏発言が明るみに出た直後、ナショナル・エンクワイアラーの編集長兼最高経営責任者(CEO)はコーエン氏に接近した。ポルノ女優ストーミー・ダニエルズ氏がトランプ氏との不倫関係を主張していると伝えたという。コーエン氏は口止め料の支払いについてダニエルズ氏と交渉した。

起訴書面によれば、トランプ氏はコーエン氏に対する口止め料分の払い戻しの支払いを隠し、「法務サービス料」の名目で毎月小切手を切っていたとされる。この取り引きはホワイトハウスの大統領執務室で両人が考案したという。

検察によれば、トランプ氏本人がコーエン氏に払い戻す小切手にサインした。そこにはダニエルズ氏に秘密保持契約への署名と引き換えに支払った口止め料13万ドルも含まれる。

コーエン氏への払い戻しの総額は42万ドルに及び、所得税の偶発債務関連の金額やボーナスも含まれているという。トランプ氏はコーエン氏に対し、1年にわたり毎月3万5000ドル支払うことに同意したとされる。

日本とは法体系が違いますし、検察がどのような証拠を持っているかもわからないので、有罪、無罪を論じることはなかなか難しいのですが(日本のテレビでは、勇ましく有罪論をぶつタレント弁護士もいましたが、笑)、この事件を見ていく上では、

www.bbc.com

を、まず見るべきだろうと思います。上記のCNNの記事にも出てくるコーエン氏は、トランプ氏の元顧問弁護士で、問題となっている支払に深く関与し、内情を深く知る立場にあって、しかも、先行して有罪判決を受けて、BBCの記事からも、今では、おそらくトランプ氏に敵対する立場にある。検察は、コーエン氏を有力な証人と位置付けているでしょうし、ナショナル・エンクワイアラーの編集長兼最高経営責任者は、コーエン氏の証言を支える、検察側の証人になっている可能性が高そうです。

一方、日本の政治資金規正法違反の問題のありようが本件と似ているように思うのですが、資金の処理について、どこまでトランプ氏のような高位の政治家が関与、認識していたかは、トランプ陣営内部の問題になります。コーエン氏らの証言ではカバーできない部分があるかもしれず、トランプ氏が直接支払に当たったからと言って、資金処理の書類上の処理まで違法に関与していたとは、直ちには言えないでしょう。そういったところは、コーエン氏らが検察側についても、トランプ氏側としては争う余地がありそうです。

報道を見ていると、次回の公判は今年の12月とのことで、審理が長期間にわたる可能性が高そうです。トランプ氏側としては、徹底的に争いつつ、自分自身を「十字架にかけられたキリスト」的に演出することで、大統領予備選、本選を有利に進めようとするでしょうし、大統領になれば、自分で自分を恩赦にする、といった方法を講じてくる可能性があります(アメリカの法制上、それが可能かどうかは私にはわかりませんが、アメリカ大統領の強力な権限に照らせばあながち不可能とは言えないでしょう)。

一方、大統領予備選、本選で敗北すれば、これ以上争う意味はないとして、司法取引に応じ軽い処分で終わらせるという「出口」もあり得ます。

今後は、関係者が本件を巡り右往左往しつつ、大統領予備選、本選へと進んでいくという、混乱が継続するのでしょう。最終的に誰が勝者になるのでしょうか。