「抑止ー「基本」なのに理解されていない考え」

 

最近、抑止力、反撃能力といったことが盛んに議論されるようになっていますが、基本的な理解を持っておかないと、その上での正しい理解も意見も出てこないので、何か読みたいと思っていたところ、これがあったので読んでみました。

著者は元陸上自衛隊将官で、古今東西の戦史を具体例として出しつつ、抑止に成功した例、失敗した例を紹介していて、大雑把な話しか聞いたことがなかった戦史もいろいろと紹介されていて、期待した以上になかなか読ませる内容でした。

日本は、現憲法の下で、長年、専守防衛を旨としてきましたが、憲法自衛権を否定せず、自衛権を行使するに当たって敵の攻撃が目前に迫っているのに座して死を待てとも命じていないでしょう。

専守防衛という大きな枠組みを崩すことなく、敵の日本に対する攻撃を差し控えさせ躊躇させ抑止する、そのための抑止力として、何がどの程度まで必要なのかを、早急に考え出して対処することが我々の急務でしょう。

最近、

も読み進めていますが、日本にとっての現実的な敵は、有事の際、日本が米国の核の傘の下にあることを前提に、非核の通常戦力を駆使して日本を恫喝、攻撃し、米国が核攻撃にまで踏み切れない(踏み切れない)「閾値」を見測りながら、核による威嚇もしつつギリギリの瀬戸際戦略で臨んでくる可能性が高いでしょう。日本としては、通常戦力を充実させ反撃能力を高め、敵の恫喝、攻撃に屈しない程度にまで自衛力を高めるとともに、米国に対しては、通常戦力レベルで日本と共同して対処するとともに、敵に対する限定核攻撃が迅速にできるだけの対応力(抑止力)を維持するように強く求めていくべきです。

そして、非核三原則を遵守し日本を非核化しておくことは、敵に対して核戦力による先制攻撃を行わないことを宣言することでもあり、敵に対する過剰な抑止力(過剰な反撃を誘発するような)にならないという意味で、今後も重要な原則、国策であり続けると思います。

「正しい核戦略とは何か」は、読み終えた時点で感想を述べたいと思います。