https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171116-00000020-kyt-l26
社員は、企業情報がネット上に流出していないか監視する会社に所属。監視に使用したシェアは、ウィニーなどと同じファイル共有ソフトの一つで、利用者間でファイルの送受信を行うことができる。音楽や映像のファイルを入手するために利用する人も多いが、パソコンがウイルスに感染し、企業や個人の情報が流出するなど社会問題化していた。
立命館大情報理工学部の上原哲太郎教授(情報セキュリティー)は「監視業務にファイル共有ソフトが使用されていたことに驚く。情報流出を招きかねない状態であり、不適切だ」と同社の対応を疑問視する。
社員逮捕が報じられた直後から、ネット掲示板には「保管していなければ、ウイルス対策ソフトの開発はできない」「自分も保管している。どうなるのか」などの書き込みが相次いだ。
ただ、社員の逮捕容疑となった不正指令電磁的記録保管罪が成立するのは、正当な目的なく、他人のパソコンをウイルスに感染させるために保管した場合などに限られる。サイバー犯罪に詳しい落合洋司弁護士は「ソフトウエア開発など研究目的であれば、罪に問われることはない」と話す。その上で「情報管理のプロが、ファイル共有ソフトの危険性を知らないわけがない。『未必の故意』を認定されてもおかしくない」と指摘する。
先日、この件に関して
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20171101#1509523620
とコメントしたことを京都新聞にも聞かれて話したことが上記のような記事中のコメントにもなったものです。ニュアンスとしては、ブログのほうで、
ウイルス保管罪は故意犯ですから、過失によりそのような状態にあった場合は犯罪不成立ですが、「ダウンロードできる状態」について行為者に、未必的であっても(もしかしたらそうなるかもしれない、そういう蓋然性がある、といった)認識があったとすれば、目的犯の目的に未必的なものを含むとする解釈はあり得なくはないですから、おそらく、その辺の解釈、認定が今後、問題になるのでしょう。
ざっくり言えば、ウイルスの取得や保管自体は正当な理由に基づくものであっても、保管方法、態様がずさんでウイルスを拡散してしまうようなものである場合に、どこまで犯罪が成立するかということが問題になり得ます。過失にとどまるずさんさもあれば、未必の故意や目的が認定されかねないずさんさも、考えられなくはない、というところでしょうか。
とコメントしているほうが、この件に関する私の見方が、より正確に出ていると思います。
なかなか微妙さのある事件ということを感じますね。