職質の警官、弁護士会館に無断立ち入り 府警に抗議へ

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170613-00000052-asahi-soci

複数の警察官が採尿のための令状を請求しつつ、男性を追尾して会館に入り、弁護士と合流した男性のエレベーターに同乗。会員専用スペースでも男性らをビデオ撮影した。男性は相談を諦め、約10分後に外へ出た。府警は約2時間半後、令状に基づき尿検査したが、覚醒剤反応は「疑陽性」で解放された。
男性の弁護士は「法的助言を受ける男性の権利が侵害された」と府警に抗議。大阪弁護士会の小原正敏会長も「捜査目的での立ち入りは会館本来の目的を超えたもの」と批判し、会として府警に抗議するという。

問題としては、
・任意捜査としての適法性
弁護士会館への立ち入り行為に違法性があるか
・弁護士との面会、相談を妨害していないか
といったところになろうかと思います。
職務質問、任意の事情聴取に当たり、拒否されても、社会通念に照らして相当な範囲内での説得行為や、そのための追尾行為は許容されると思いますが、あまりにも執拗であったり、しかも、そういった事情がわかっていれば管理者の許容が得られないような場所への立ち入り行為にまで発展すれば、適法性を肯定することは困難になるでしょう。報道を見る限り、ですが、そういった執拗性や違法性が生じかねない建物への立ち入り行為を伴っているように見え、まず、そこで問題があると思われます。建造物侵入罪の成立も、問題になる余地はありそうです。
必要性という点でも、「令状を請求しつつ」という状態にあったのであれば、弁護士会館に立ち入らず、被疑者が出てくるのを待って、令状が出た時点で強制採尿を行うということも十分可能であったのではないかと思われ、「令状を請求しつつ、男性を追尾して会館に入り、弁護士と合流した男性のエレベーターに同乗。会員専用スペースでも男性らをビデオ撮影」までする必要性があったか、疑問を感じます。
任意捜査での取り調べ中にも、弁護士との接見交通が保証されることについては、裁判例もあり、上記の記事にあるような経緯で弁護士への相談が困難になったということであれば、接見交通を妨害したという違法性も出てくる可能性はあるでしょう。
現在、問題になっている共謀罪も、こういった警察による活動で捜査対象になることに、不安を感じる国民も少なくないのではないでしょうか。