米最高裁、令状なしのGPS追跡は違憲と判断

http://japan.cnet.com/news/society/35013385/

最高裁は米国時間1月23日、法執行当局がGPSによる追跡デバイスを被疑者の車両に令状なしに取り付けることを許可されるのは、合衆国憲法修正第4条に違反するとの判断を担当判事の全員一致で下した。修正第4条は「不合理な捜索および逮捕押収に対し、身体、家屋、書類、および所有物の安全を保障される人民の権利を侵害してはならない」と定めている。
Antonin Scalia判事、Anthony Kennedy判事、Clarence Thomas判事、Sonia Sotomayor判事、およびJohn Roberts最高裁長官は、この見解を支持した。Samuel Alito判事は、多数意見とは別に判決理由を補足するために執筆した同意意見の中で、追跡は人の「プライバシーに対する合理的な期待」を侵害するとの見解を示し、Ruth Bader Ginsburg判事、Stephen Breyer判事、およびElena Kagan判事がこれに同調した。最終的には、GPSでの追跡には令状が必要との最終判断を判事全員が支持した。

日本でも、以前、

愛媛県警、GPS情報端末を参考人の車に無断で設置
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20060411#1144721932

でコメントしたように、実際に行われている捜査手法であり(将来の公判における証拠使用を予定せず、様々な人や車両の監視のためにかなり広範囲に横行している可能性もあります)、それだけに注目される判断ですね。
日本で、こういった捜査が無令状(令状によるとすれば検証許可状でしょう)で行われた場合、「任意捜査の限界」として、必要性、緊急性、相当性といった観点から、その可否が検討されることになるでしょう。
この米国最高裁判例が、日本における同種捜査の評価に影響するとすれば、プライバシー侵害の程度が高い、相当性に問題がある手法であり、原則として令状によるべきで、無令状によることが許されるのは、高度な必要性、緊急性(例えば、誘拐犯人使用である可能性が高い車両を発見し令状を取得する暇もなく咄嗟にGPS端末を取り付けるなど)がある例外的な場合に限られる、といった方向で考える、ということが、可能性としてはあるのではないかと思います。
日本における法解釈に、直ちに影響するものではありませんが、参考になるものであることは間違いありません。