「捜査報告に虚偽」 覚醒剤事件で東京地裁が無罪判決

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140714/trl14071421230006-n1.htm

判決によると、男性は昨年9月、東京都内の路上で職務質問を受け、所持品を見せることを拒否したため捜索差し押さえ令状に基づく強制捜索を受けた。令状請求の際に提出された捜査報告書には「職務質問で警察官が『覚醒剤』という言葉を出すと(男性が)明らかに興奮した」と記載されていた。
江見健一裁判官は、公判で現場にいた警察官がこの記載の事実関係を否定したことを重視。「覚醒剤所持をうかがわせる事情がないのに令状請求し、約3時間40分も現場に男性を留め置いた」と捜査の違法性を指摘した。

最高裁判例で、採尿手続に重大な違法性があり鑑定書が証拠排除される場合であっても、それを疎明資料として発付された令状で差し押さえられた覚せい剤の証拠能力は否定されない、というものがあるのですが、上記の件の場合、令状発付という直接の目的のために虚偽報告書が使用され、その結果、おそらく覚せい剤が差し押さえられたという経緯であったものと見られ、「虚偽」と押収がダイレクトに結びついているところが、証拠排除、無罪という判断につながったものと思われます。
この分野には、いろいろな裁判例がありますが、新たな参考になるケースとして付け加えられることになるでしょう。