拘置所の接見撮影禁じる判決が確定

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160616/k10010559001000.html

2審の東京高等裁判所は「接見する権利に撮影は含まれず、拘置所は庁舎を管理する権限に基づいて、撮影を禁止することができる」として、1審の判決を取り消し、弁護士の訴えを退けました。
これに対して、弁護士は上告しましたが、最高裁判所第2小法廷の山本康幸裁判長は16日までに上告を退ける決定を出し、拘置所の判断で撮影を禁止できるとした判決が確定しました。

刑事訴訟法は、39条で

1 身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者(弁護士でない者にあつては、第三十一条第二項の許可があつた後に限る。)と立会人なくして接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。
2 前項の接見又は授受については、法令(裁判所の規則を含む。以下同じ。)で、被告人又は被疑者の逃亡、罪証の隠滅又は戒護に支障のある物の授受を防ぐため必要な措置を規定することができる。
3 検察官、検察事務官又は司法警察職員司法警察員及び司法巡査をいう。以下同じ。)は、捜査のため必要があるときは、公訴の提起前に限り、第一項の接見又は授受に関し、その日時、場所及び時間を指定することができる。但し、その指定は、被疑者が防禦の準備をする権利を不当に制限するようなものであつてはならない。

と規定していますが、そこで言う「接見」は、従来、「面会」と捉えられてきていて、その解釈が問題になることは特になかったと思います。しかし、最近、接見時に、持っているレコーダーやスマートフォン等で、弁護士が被疑者、被告人の音声を録音したり撮影するといったことが、記録を残すという目的から行われるようになってきていて、拘置所等は、上記の記事にもあるような管理権を根拠にそういった行為を制限しようとして、各地で紛争が生じているという状況になっています。
被疑者、被告人の防御権を十分に保障するという観点からは、接見の際にはそのための自由な情報交換が最大限保障される必要があり、狭く「面会」に限定するべきではない一方で、刑事訴訟法39条2項が「戒護に支障のある物の授受を防ぐための必要な措置」を予定していることにも現れているような、管理権に基づく一定の制約ということを全面的に否定することもできないでしょう。ただ、撮影や録音ということと、従来、何ら疑問が持たれてこなかった接見時のメモを、意味のある線引きをして区別することは困難ではないかと思われ、おそらく拘置所等側が懸念している、撮影や録音されたデータの外部への持ち出しということも、メモとの間で片や許容、片や禁止と区別すべきなのか、疑問は大きく残るものがあります。
接見の意義を再構成し、従来は当然とされてきた枠からはみ出すものも解釈として含めるべきではないか、十分な検討が必要であるとともに、弊害防止のため新たな措置が必要であれば導入するなど、建設的な対応が必要ではないかという印象を受けます。