NHKスペシャル 果てなき消耗戦 ~証言記録 レイテ決戦~

レイテの戦いは、戦史の本を読むと各所に出てくるので、一通りの知識は持っていたのですが、このDVDを観て、その経緯がよくわかり、当時の戦争指導のお粗末さやそういったお粗末な戦争指導で死ななくて済む幾多の将兵、民間人が犠牲になったことに、改めて強い衝撃と憤りを感じずにはいられませんでした。
私なりにざっくりまとめると、当時の状況は、

・1944年の台湾沖航空戦で、甚大な大戦果を挙げたと海軍が誤認、その後、誤認と判明したが陸軍には伝えず
・台湾沖航空戦で米艦隊が壊滅的な打撃を受けたと誤解した陸軍が、それまでのルソン島での防衛戦という方針を転換し、レイテ島での決戦を決意
・レイテ島で米軍を迎え撃つものの、撃破され壊滅し、補給もないまま放置されて将兵の大多数が餓死、病死

という、こうして書いているだけでも悲惨さや愚かさ(前線の将兵ではなくはるか後方の戦争指導者)が手を通じて伝わってくるようなものでした。
レイテ島で壊滅した後の将兵が、補給もなく何の見通しも立たない状態で、降伏も許されずレイテ島の「死守」を命じられ、人肉食にまで陥りながら朽ち果てるように死んでいく有り様は、正にこの世の地獄と言っても過言ではなく、当時の方々のご冥福を心からお祈りするとともに、戦後日本がこのような方々の尊い犠牲の上で成り立っている国家であることや、二度と再びこのような惨禍を生じさせないことを「国是」としなければならないと強く思いました。
天皇皇后両陛下が、敢えてフィリピンを訪問された意味を、我々日本国民は今後も繰り返し自らに問うていかなければならないでしょう。