「捜査員の証言信用できぬ」 スリ未遂、無罪判決

http://www.asahi.com/national/update/0419/TKY201204190259.html

判決は、逮捕前に男性を尾行していた状況についての捜査員の説明が男性のIC乗車券の履歴と食い違っている点などを指摘。「捜査員の証言には疑問が残る」と結論づけた。

この種の事件は、スリ捜査担当の警察官がスリを追尾し、スリ行為に及んだところを現行犯逮捕する、という立件のされ方をするのが普通で、否認事件が多く、そうした現認警察官の証言が信用できるかが問題になるものです。既遂の場合は、スリが「物」を持った状態で逮捕するのでわかりやすくなりますが、未遂の場合は、証言のみの信用性が問題になる、という証拠構造になりがちです。従来は、スリ捜査担当の警察官が嘘をつく理由も必要もなく証言内容も具体的で信用できる、といった理由で有罪になるのが通例であったと思います。それだけに、こういった無罪は珍しいでしょう。
追尾状況をきちんと証言できないほどの捜査能力の低下や、不祥事続出の捜査機関に対する裁判所の不信感、といったことが、こういう判断につながっている可能性もあり、元々、強固な証拠構造を持たない事件だけに、今後、従来のようには有罪にならない、ということになる可能性もありそうです。