特殊詐欺“受け子”逮捕者の7割以上が起訴

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160202/k10010393831000.html

警察庁は去年の1月から8月までに、全国で起きた「特殊詐欺」の事件で、現金などの受け取り役、いわゆる「受け子」として現場に来たところを逮捕された容疑者のうち、少年や少女を除く563人について調べた結果、多くが「書類を取りに来ただけだ」とか「現金とは知らなかった」などと供述し、容疑を否認しましたが、全体の76.4%にあたる430人が起訴されていたことが分かりました。
警察庁によりますと、去年1年間に「特殊詐欺」の事件で全国の警察に検挙された容疑者のうち、「受け子」がほぼ半数を占めているということです。

薬物の運び屋も同様ですが、組織犯罪集団にとって、こういった、リスクをダイレクトに引き受けてしまう役割は、できるだけ「外注」に出して金で処理しようとするものです。与える情報は最小限度にしておき、検挙されても芋づる式に組織犯罪集団に累が及ばないように細心の注意が払われるもので、その意味で、記事にもあるように「使い捨て」の存在です。
与えられる情報が限られていますから、必然的に、「知らなかった」「そんなつもりはなかった」という弁解が出てくるものですが(上記の記事にあるような否認)、犯罪の故意には、確定的なものだけでなく未必的なもの(そうかもしれない、程度)も含まれますから、否認でも、状況証拠により立証可能として起訴されるケースがかなり出てくるものです。それが、上記の記事のようなかなり高い起訴率にも現れていると言えるでしょう。
割が良すぎる、得体のしれない仕事をしないかと誘われたら、何か隠された重大な「裏」があるのではないかと疑ってみることです。安易な判断が一生を誤りかねない、そういうリスクが、ごく身近にある、そういう状況になっています。