顔のないヒトラーたち

http://www.huffingtonpost.jp/toru-kumagai/auschwitz-trial_b_8238418.html

第二次世界大戦終結から70年目にあたる今年、我々日本人にとっても重い問いをつきつけるドイツ映画が公開された。本作品(原題Im Labyrinth des Schweigens=沈黙の迷宮の中で)は、1963年にアウシュビッツ裁判を実現させた検察官たちの苦闘を克明に描く。この裁判は、ドイツ社会を「過去との対決」へ突き動かした、重要な出来事だった。

ドイツ人がこうした歴史との対決を続けているからこそ、この国は旧被害国の間で一定の信頼を回復することができた。もしもドイツが歴史との対決を怠っていたら、欧州連合の事実上のリーダーになることはできなかったに違いない。

先週末、この映画に関する記事をネットで見て、これは観なければと思っていたのですが、都内での数少ない上映館で、新宿の武蔵野館が夜9時からの上映があったので、昨夜、ちょっと無理して行って観てきました。最近観た映画の中では、トップ3、もしかしたらトップかもしれない、実に心に残る良い作品でした。
ドイツがこうなのに日本は、といった単純な比較はできませんが、今年の5月、ダッハウ強制収容所跡(その少し前に私も行って見学しましたが)を訪問したドイツのメルケル首相が、同収容所に収容されていた元囚人の手を取り共に歩む姿をニュースで見て、過去と真摯に向き合い自らも変わっていったドイツというものを深く感じさせられましたし、この映画を見て、そういうドイツが、過去に向き合うことの苦痛をいかに乗り越えてきたのかを、ひしひしと感じさせられました。苦難の道を歩んだ先に信頼を勝ち得て国としても豊かになったドイツ、では日本は?といったことを改めて考える上でも意義のある作品ではないかと感じました。