映画「ヒトラー暗殺、13分の誤算」

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その後に起きて映画にもなった、ロンメル元帥の死の原因にもなった暗殺未遂事件に対し、こちらはあまり知られていないように思うのですが、それだけに私自身も興味、関心を持ちつつじっくりと鑑賞しました。完成度の高い、よくできた映画であると感じました。
暗殺未遂事件そのものの描き方が割とあっさりしている感がありましたが、暗殺者ゲオルク・エルザー本人の半生、実行に至る心理描写は丹念、丁寧で、ヒトラーナチス一辺倒の当時のドイツにおいて、自らの確固たる信念に基づいて行動した、その姿には、暴力、テロに対する抵抗感を感じつつも、共感を覚えるものがありました。
私自身、一時期、公安部の検事をやったこともあり、日本や海外の暗殺、テロ事件には興味を持ち文献等を割と読むほうだと思いますが、数少ないとはいえ、その時々の情勢の下で、他に手段はなかったのではないか、よく右翼関係者が口にする「一殺多生」へとつながる事件だったのではないかと思われるものが存在するのも事実です。日本の歴史上で言えば、大化の改新における蘇我入鹿暗殺とか、幕末の桜田門外の変、といったあたりでしょうか。そういった意味で、この映画で描かれた暗殺未遂事件は、未遂に終わったとはいえそういった系譜に連なるものであるように思われました。
人として立ち上がるべき時が来ることもある、立ち上がるべき時に決然と立ち上がることができる人になっておく必要がある、ということを、しみじみと考えさせられました。
今春に行ったミュンヘンダッハウ(ゲオルク・エルザーが強制収容所解放直前にそこで銃殺)の風景も映画では出てきて、行った際のことも思い出されました。