取り調べ可視化 捜査に強力“武器”

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150808-00000063-san-soci

取り調べの可視化により供述を得ることが難しくなるとして、司法取引と通信傍受の対象拡大も盛り込まれた。野党の反発もあったが、巧妙化する振り込め詐欺や外国人、暴力団による組織犯罪の根絶に有効な捜査手法であることは否めないだろう。元検事の落合洋司弁護士は「時代に応じた捜査手法の拡大は避けては通れない道。(冤罪などの)課題はあるが、使いながら修正していくしかない」と指摘する。

捜査から公判までにわたる幅広い改正により、さらなる治安確保が期待されるが、捜査機関にはいっそう慎重な運用が求められている。

私は、平成元年(1989年)に検察庁に入り、刑事司法に関わるようになって今年で27年目になりますが、取調べで真相が供述されることが、日を追って難しくなっていると感じていますし、そうである以上、そうであるからこそ、良質な供述を確保する手段が新たに確保される必要があると前々から考えていて、その意味で、こうした捜査手法の拡大は避けて通れない道なのだろうと考えています。もちろん、人権に対する配慮や、特に司法取引では虚偽供述の誘発、冤罪といったことにつながる危険性も出てくる以上、それを防止することも重要であり、真相解明と人権保障という両者のバランスが図られなければならないことは、刑訴法1条がいみじくも言っているとおりでしょう。
新たな捜査手法が導入されれば、捜査も変わらざるを得ないだけでなく、刑事弁護も、戦う、否認、黙秘で対抗するというだけでなく、司法取引でうまく乗るべきところは乗って早期の釈放や社会復帰を目指すということも重要になります。場面に応じて頭を切り換え柔軟に対応する、そういうところも今後の刑事弁護ではより一層求められることになるでしょう。
日本の刑事司法が、世界の趨勢にも影響を受けつつ、大きな曲がり角、転換点に来ている今、どういった刑事司法があるべき姿なのか、大きなビジョンで考えていく必要性がますます高まっていると思います。