http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150515-00000015-mai-soci
検察に関しては、全被告が否認に転じても公判を継続した点を問題視し、注意義務違反を認定した。
選挙違反捜査では、検察庁は一般事件とは異なり、必ず強制捜査の前から警察からの相談を受け、起訴までは請合いませんが、身柄事件として進めるのであればそこも含め了承するのが通例で、供述調書を作成するにあたっても、「PS立証」といって(「PS」というのは検察官調書の実務における略称です)、警察調書(KS)は公判で使わないことを前提に、逐一、PS化することになっています。選挙違反捜査が民主主義の根幹に関わるものだけに、そういった特別な取り扱いがなされているものといって良いと思います
その意味で、上記のように、「全被告が否認に転じても公判を継続した点を問題視し、注意義務違反を認定した。」というのは、本件のあまりにも問題が多い捜査に照らして考えると、私としては中途半端な印象がありますが、裁判所としては、そういった捜査の問題を踏まえつつ、固いところで、手堅く、検察庁の注意義務違反を認定したものなのかもしれません。判決文を読んでみる必要がありそうです。
選挙違反捜査は、失敗例も少なくなく、本件はその中でも特にひどい失敗例だと思います。こういうことにならないように、捜査関係者は、この事件から多くの教訓を導いて今後の適正捜査へと生かさなければならないでしょう。