徘徊事故、名古屋高裁も妻に賠償命令

http://www.hochi.co.jp/topics/20140424-OHT1T50115.html

2007年12月、愛知県大府市で徘徊(はいかい)症状がある認知症の91歳男性がJR東海の電車にはねられ死亡した事故をめぐり、同社が遺族に振り替え輸送代など損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁は24日、「見守りを怠った」などとして男性の妻(91)と長男(63)に賠償を命じた一審名古屋地裁判決を変更、妻だけの責任を認定し359万円の支払いを命じた。

介護関係者らからは、一審判決に「認知症高齢者の閉じ込めにつながる」などの批判が続出。高齢化社会が進む中、妻の責任だけに変更したとはいえ家族に賠償を命じた高裁の判決も、認知症患者が起こした事故の責任の在り方をめぐり議論を呼びそうだ。

この件については、1審判決の後に、本ブログで

<特集ワイド>認知症事故と損害賠償 介護現場に衝撃の判決
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20131016#1381925840

とコメントしたことがありますが、このような判決が出る背景には、改正精神保健福祉法で保護義務者の自傷他害防止監督義務が削除されているにもかかわらず、判例はその点を改正前と変わらず肯定していることがあって、従来の判例の流れと、こうした気の毒な介護案件が激増して多大な負担を家族にかけ、なおかつ事故が発生すればお金の負担までかけてしまうのはあまりにも酷ではないかという問題点に起きな乖離が生じている、そこは何とかしなければならないでしょう。
判例が見直されないのであれば、国が主導してこうした事故の際に保障する制度(自動車の自賠責のような)を作るなど(そのためにどのような拠出を求めるかどいった問題もあります)、現実的な対応先を早急に講じないと、今後もこうした事件は繰り返されることになります。