「元検事の供述覆せば崩れる」 改ざん事件、識者の見方

http://www.asahi.com/national/update/1022/OSK201010210164.html

元検事で、元公安調査庁長官の詐欺事件で弁護人を務めた落合洋司弁護士の話 報道によると、最高検は大坪弘道・前部長と佐賀元明・元副部長が、前田恒彦・元主任検事の改ざんを隠すため、「過失だった」という虚偽の上申書を作らせたとみて、犯人隠避に当たると判断したのだろう。前部長らは容疑を否認している一方、元主任検事は具体的かつ詳細な供述をしているという。元主任検事がウソの供述をするメリットは考えにくい。同僚検事らの証言も元主任検事の供述を裏付けていると判断したとみられる。前部長らが有罪になるかは元主任検事の供述を裁判所が信用するかで決まる。

犯人隠避事件について、直接知り得る立場にあったのは、元部長、元副部長、元主任検事の3名だけで、元部長、元副部長は全面否認ということですから、最高検が起訴にあたり有罪判決が獲得できると判断した証拠の構造は、元主任検事の自白(おそらく具体的かつ詳細なものになっているでしょう)を、物証(虚偽の上申書)や周囲にいた関係者(美人検事、ロン毛検事など)が裏付けている、ということになっているでしょう。裁判所が、そういった証拠構造の下で有罪といういう心証を得るかどうかが、特に、元主任検事の供述の信用性を巡って、今後、大きく問題になるものと思われます。
証拠を見ていないので、元主任検事の供述が信用できるかどうかは何とも言えませんが、犯人として「隠避された」事実がないのにあったと嘘をつくことで、元主任検事にとって何かが有利にはたらくとは考えにくい上、最高検にしてみれば、元部長、元副部長が主張しているストーリー(元主任検事は過失と主張し自分たちはそれを信じていた)に乗っかってしまったほうが組織としてのダメージは最小限度で済むわけで(国民の批判は強く浴びても、元々、最高検は国民の声に耳を傾ける姿勢などない)、虚偽の最高検ストーリーに元主任検事が迎合したとも考えにくいものがあります。
そのような事情を含め、今後、公判で熾烈に争われる中で、最高検による捜査結果の正当性が検証されることになります。