http://www.jiji.com/jc/zc?k=201305/2013052800699&rel=y&g=soc
村瀬均裁判長は、強盗殺人罪の共謀を認めて懲役28年とした一審長野地裁の裁判員裁判判決を破棄、ほう助罪にとどまると判断し、懲役18年を言い渡した。
控訴審判決で村瀬裁判長は、「奪った金が報酬に充てられる可能性が相当程度あることを知ったからといって、共謀は認められない」と指摘した。
従属的な立場で犯行に加担した者に、(共謀)共同正犯としての責任があるか、そこまで至らず幇助犯にとどまるかは、刑事実務上、争われがちです。犯行を共同して実行する意思があったかどうかが、果たした役割の重要性や報酬目的の有無・程度、分配状況等から認定されるというプロセスをたどりますが、基礎となる事実関係の認定に基づいて「共謀」があると判断するのは、規範的な「評価」の側面が強く、裁判員裁判での判断を尊重しつつも、高裁としては、そうした評価の点については誤りは見過ごせない、ということだったのではないかと推測されます。ただ、どこまでが事実認定でどこからが評価かは微妙で、裁判員裁判への高裁の関わり方として難しい面はあるでしょう。被告人に有利な方向への破棄、自判ということも正当性を根拠づけているというところでしょうか。共謀が認定されなかったケースとして、今後の参考になるものである可能性があります。判例誌での紹介を期待しています。