MRIフジナガ社長の刑事告発、国境の壁で難航

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130502-00001648-yom-soci

社長を日本で刑事訴追するには、日米犯罪人引き渡し条約に基づき、身柄を引き渡してもらう必要がある。
同条約は、死刑や1年を超える懲役・禁錮刑に当たる法律違反にしか適用できないが、強制調査の容疑となった誇大広告の法定刑は、懲役6月以下または50万円以下の罰金。条約を適用するには、法定刑の重い別の容疑を立証しなければならない。

端的に言えば、詐欺罪による立件を念頭に、警察・検察、証券取引等監視委員会、被害者や代理人弁護士が協力、協調しながら進める、というのが現実的でしょうね。証券取引等監視委員会の調査は、金融商品取引法違反に限られるという限界はありますが、米国のSECとも協力しつつ、基礎的な資料を丹念に収集し関係者から事情聴取して、金融商品取引法違反事実で告発する、という限度では十分機能することが可能です。捜査を、警察主体で、あるいは検察主体でやるにあたり、詐欺罪の成立を当初から念頭に置き、証券取引等監視委員会の調査結果を活用しつつ、被害者や代理人弁護士とも緊密に連絡を取りあって、ここからは詐欺である、という一線をどこに引くか、方針を決め、詐欺による立件が可能と考えられる被害について、被害届、告訴を出してもらい、立件して、金融商品取引法違反事実(詐欺と密接に関連することになるはずです)と併せて捜査を進め、捜査が進捗すれば、その結果に応じて、犯罪人引渡条約による身柄引渡も検討する、という流れで進めるのが妥当です。詐欺罪は、そういった引渡を求めることができる重罪ですから、証拠により犯罪事実が認められれば、引渡も認められることになるでしょう。
捜査の進め方に工夫が必要なケースであると思います。