赤穂事件と四十六士 (敗者の日本史)

昨年、同じ著者による

これが本当の「忠臣蔵」 (小学館101新書―江戸検新書)

これが本当の「忠臣蔵」 (小学館101新書―江戸検新書)

を読み、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20120510#1336608673

その後、

「忠臣蔵」の決算書 (新潮新書)

「忠臣蔵」の決算書 (新潮新書)

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20121201#1354324004

も読んで、「敗者の日本史」シリーズで出た上記の本も読んでみることにしまました。3分の2くらい読んで、間もなく読み終えようとしています。
他の2冊と同様に、本書でも、史料に基づいて、当時の赤穂浪士の行動や考え方が丁寧にたどられていて、どうしても「忠臣蔵」という、かなり脚色、フィクションが混じったもので見がちな目を、リアルなところへと導いてくれる内容です。私も、赤穂事件関係の本は割と読んでいるほうだと思いますが、今までもやもやとしていたものが、これを読んでいて、ああ、そういうことだったのかと感じた点が何点かありました。例えば、浅野内匠頭実弟で旗本であった浅野大学が広島藩へお預けになるまで大石内蔵助は浅野家再興を図ってきていますが、浅野家再興が成れば討ち入りをしない、という方針であったわけではなく、吉良上野介と浅野大学が両立、併存することは許されない、として、たとえ再興された浅野大学に累が及ぼうとも討ち入りは行う方針であったことが、史料からはうかがわれ、現代の感覚からするとわかりにくさ、違和感はあるものの、当時の武士の考え方、というものが垣間見られたような気がしました。
武士としての生き方を貫こうとしつつ、様々な思いに逡巡し、人によっては脱落する、その中で最後まで意思を貫いて討ち入りに成功し、不朽の名声を長く後世へと残した赤穂浪士の赤裸々な姿を知ることができる、参考になる本です。