法実務技能教育支援セミナー

一昨日の土曜日と昨日の日曜日、名古屋にある南山学園研修センターで、上記のセミナーを受講してきました。

http://www.law.nagoya-u.ac.jp/~psimconsortium/event2011.html

1日目は、午後、
「弁護士のための法廷テクノロジー入門」
講師:ピーター・T・ホフマン氏(アメリカ・ヒューストン大学ロースクール教授)
と、南山大学法科大学院主催による、
ロースクールにおけるクリニックのプログラム」
講師:マーシャ・M・マンスフィールド氏(アメリカ・ウイスコンシン大学ロースクール教授)
の講演がありました。
ホフマン教授の講演では、弁護士が法廷活動を行う上で、テクノロジーをいかに活用するかについて、パワーポイントを駆使し、ビジュアルにわかりやすく「見せる」手法が具体的に紹介され、大変参考になるものでした。マンスフィールド教授の講演では、アメリカのロースクールにおけるクリニック教育の歴史(1960年代以降、実務教育が重視されるようになる中で発展)や、ウイスコンシン大学ロースクールにおける「無罪プロジェクト」などのクリニックに、学生が強い興味、関心を持って取り組んでいる様子などが紹介され、日本の法科大学院において行われているクリニック教育の今後を考える上で、かなり示唆に富むものがあるように感じられました。
翌日の日曜日は、午前中から、予め配布された架空の傷害事件に関する資料に基づいて、参加者(私以外は若手の弁護士)が検察官役と弁護人役に分かれた上で、講師(上記のホフマン教授ら)の解説を聞きながら、最終弁論、主尋問、反対尋問を模擬で実際にやってみながら、講師の指導を受ける、ということが行われました。
予め、

現代アメリカ法廷技法―弁論・尋問の分析と実践

現代アメリカ法廷技法―弁論・尋問の分析と実践

の該当部分を読んでおくよう指示されていて、私も、ざっとは読んでいたのですが、講師による解説では、弁護人としていかなるストーリーを持つべきか(ケースセオリー)、それをいかに説得的に裁判所(陪審員)に対して語るべきか、最終弁論を想定しつつ主尋問や反対尋問を組み立てて行くことの重要性などが具体的に指摘されていて、公判活動を行う上で、すぐにも役立つ内容が豊富でした。
参加者1人あたり2、3分で、最終弁論や主尋問、反対尋問を行い、1人ずつ、講師の講評、指導を受けるということもやりましたが、ごく短時間で、的確にこういったことを行うのは、なかなか難しく、私自身も、主尋問はオープンクエスチョンで端的に行うべきことや、反対尋問では証人を通してストーリーを語るべきことなどを指摘されて、自分の尋問手法について反省させられることがいろいろとありました。
このような研修は、アメリカでNITA(The National Institute for Trial Advocacy)が行っているものを(本来は1週間程度の期間をかけて行うようです)、今回は、体験用に、簡略化して1日で行ったものということでしたが、1日だけでも、かなり密度が濃く、様々な手法が学べる内容になっていて、かなり有効、有益な研修ということを感じました。
2日にわたり、みっちりと研修を受けることができ、今後へとつながる、いろいろなことが学べたことを実感しながら帰京の途につきました。講師の先生方、企画や準備にあたられた方々など、関係者の皆様に、この場を借り御礼を申し上げます。